韓ドラとソウルホテルと。

韓国ドラマのレビューブログ(基本的にネタバレ)。ときどき昔話。

麗 ~花萌ゆる8人の皇子たち~

yoonaのココがみどころ!

■ただのイケメンものではない。恋愛、確執、嫉妬がいりくんだストーリーが面白い!

■原作は中国の「歩歩驚心 麗」。中国の史実に基づいているのに、よくもここまで韓国の史実に合った!

イ・ジュンギ、再認識しました。IU、いろいろ議論がありましたが、よかったです。

■高麗時代の王の順番、頭に入れておいたほうがいいです。

 


いや~、面白かったです!
花郎」とか「月明かり」どころではないです。
面白すぎました。

原作は中国の小説なんですね。それで中国で先にドラマ化され、そのリメイクだそうです。
「歩歩驚心 麗」というのが原題で、韓国では「月の恋人」というタイトルでした。
日本では「月の恋人」という別のドラマがあるので、「麗~花萌ゆる・・」という甘ったるいタイトルになったのでしょうか。

このタイトルと「イケメン皇子8人」に騙されると、あとで痛い目にあいます。
ドラマは前半と後半でまったく違う2つのドラマのようで、
前半のきれいな皇子たちがわちゃわちゃしているのを、ぼーっと見過ごすと、大事な伏線を見逃します。

それと私が見たBSではカットが多すぎて、
見終わった後にネットに載っているあらすじなんかを見ると、「ここもない」「このシーンは見てない」というのが多すぎて、話になりません。
もう一度、ノーカットのを見ないと!

韓国でも当初の視聴率は良くありませんでした。
史劇というよりは、会話も現代調で、皇子たちも和気あいあいで、
暗い過去を背負ったイ・ジュンギさんだけが、こわ~い感じで。

顔に傷もあるし。

21世紀からタイムスリップしたヘ・ス(IU)が、ここは高麗時代で、

目の前にいる王様が歴史で習ったワンゴン(王健)だと気き、

「ドラマじゃなくてホンモノを見ちゃった!」というところは面白かったです。

私もその辺で、高麗時代の系図なんかを探して見ました。
原作の中国は清の時代が舞台とのことですが、王様がいて、子だくさんだったという背景が同じ高麗時代を設定していて、皇子たちの名前も史実とあっているので、
その辺で、だれが次の皇帝になるのかというのがだいたいわかります。

ヘ・スも、歴史上「血の皇帝」と呼ばれた4代王光宗(クァンジョン)が兄弟のうちの誰なのかがわかってからは、
彼がのちの世にそう呼ばれることのないようにしたいと思いつめますが、
歴史は変えられないんですよね~。

そういうわけで、後半、光宗になるワン・ソ(イ・ジュンギ)が中心の話になっていきますが、
そのあたりからは、重苦しいというか、

高麗時代の王家の悲劇的な話になっていきます。

イ・ジュンギの鋭い目つきがですね~、素晴らしいです。
最初は単に怖い顔なんですが、ヘ・スに惚れちゃってからは、とろんとした顔になり、
王位につくとまた威厳のある顔になります。
最後はちょっと嫉妬もあって、迫真というか。

まわりが若い俳優なので、同年代に見せるために、
14kg減量したそうです。すごみも増していました。

IUちゃんが俳優として物足りないという意見も多かったようですが、
彼女のぽわんとした感じが、この悲劇の一族の癒しになったようで、よかったと思います。
記事をさかのぼると、この役にはファン・ジョンウムさんがオファーされたようですが、断ったとありました。

この役は、最初からちょっと現代風な女性をイメージしていたのだと思います。
現代へ帰るでもなく、高麗時代の皇宮で生きる芯の強い女性になっていく後半はとてもいいです。

皇子たちみんなが、ひとめぼれではなくて、なんとなくヘ・スにひかれていく様子も、いろいろなシーンでちゃんと描かれています。

皇子が8人もいますので、重要な役どころではないと思う皇子もいると思いがちですが、
一人ひとりにものすごく重要な設定があって、それもあって最後まで飽きません。
8人8色なんですよ~。
もともとは仲の良かった皇子たちが、皇位を巡ってどんどん運命に翻弄されていくのがすごいです。

前半は名前も覚えられないけど(何しろみんな一文字)、今はちゃんとわかります。

よく言われているようですが、
いかにも「続き」があるような、期待いっぱいの終わり方をします。
実際、中国版は続きがあったようですが、
この作品を撮影していた時と今では中韓関係が違い過ぎて、
続編は今のところないのではないかと思います。

とりあえず(今スグではないかもしれませんが)、
ノーカット版を見ます!
レビューはそれから書きたい!

 

 

~~~~~~~~~~~~~

 

 

BS版はカットが多すぎたので、レンタル版を改めて見終わりました。

ここ見てない、というところをメモしながら見ましたら、けっこうありました。

 

いろいろ言いたいことが多すぎるこのドラマ。

ちょっとずつ語っていこうと思います。

基本的にここからはネタバレします。

 

まず、私が一番気になったのはOST

「麗」のOSTにはいろんなジャンルの人たちが入っています。

ドラマを輸出するだけじゃなく、音楽も一緒に!という制作側の気合が伝わってきます。

 

日本版のOSTのCDに入っているのは以下の曲

 

01.君のために/チェン、ベクヒョン、シウミン(EXO)

02.Say Yes/LOCO、Punch

03.愛してる 憶えていて/I.O.I

04.あなたを忘れることは/Davichi

05.All With You/テヨン(少女時代)

06.私の心の声が聞こえますか/EPIK HIGH(Feat.イ・ハイ)

07.恋のような 違うような/ペク・アヨン

08.告白します/SG WANNABE

09.必ず帰ってきます/イム・ソンヘ

10.MY LOVE/.イ・ハイ

11.風/チョン・スンファン

12.Be With You/楽童ミュージシャン(AKMU)

13.さよなら/イム・ドヒョク(Feat.LOCO)

 

残念ながら、ヒロインであるIUちゃんの曲は入っていないんですよね~。

 私が注目したのは、9曲目の「必ず帰ってきます」という曲。

これは韓国を代表するソプラノ歌手のイム・ソンヘさんが歌っています。

ドラマのOSTにソプラノ歌手って珍しいですよね。

この曲が使われた印象的な場面では、

前半で、ウク皇子の妻ミョンが亡くなる雪のシーン、そしてドラマのラストにも使われていました。

 

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この曲が聞こえてきたとき、私は一瞬、

サラ・ブライトマンの「Time to say goodbye」が流れてきたのかと思いました。

リズムも似ていますし、雰囲気も似ています。

替え歌かと思ったくらい。

 

映像を見直さないとですが、いいところで何回か使われています。

 

あと、今若手の女性歌手では人気のイ・ハイちゃんの曲も2曲使われています。

これは主に、ヘ・スの心情として使われています。

 

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テーマ曲はEXOの3人のメンバー、チェン、ベッキョン、シウミンで作るユニットグループ、EXO-CBXの曲です。

EXOのベッキョン君は第10皇子ワン・ウン役ですね。

 

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ちなみにCBXは「シービーエックス」ではなく、

名前から、「チェンベクシ」と読みます!

 

余談ですが、

前半で、ジモンの部屋で皇子たちが遊んでいるシーンで、

明るくかわいいウン皇子がオオカミのまねをするところがあるのですが、

この鳴き声は、EXOの代表曲「WOLF」の前奏に出てくるんです。

EXOファンはここは笑うシーン。

 

中盤に、皇宮へ戻ったワン・ソが皇子の衣装でヘ・スに会い、

ヘ・スがいろいろと皇子に注意をすることころで、

「小言が多いな」というシーンがあるのですが、

ヘ・ス役のIUちゃんの曲に「小言」というのがあります。

それをひっかけたかな~と思うシーンでした。

 

このドラマの原作が中国の清王朝の話で、

韓国版はその内容を高麗時代に当てはめたという話は前にも書きましたが、

ほんとによくはまったなあと感心します。

国も時代も全然違うのに。

 

日本史を学んだ私たちから見ると、高麗の前、

朝鮮半島新羅後百済、高麗の3つが割拠していた後三国時代の方がなじみがありますが、

その後、高麗が統一したわけですね。

 

両方とも王の奥さんがいっぱいいて、皇子もいっぱいいた時代なんですね。

高麗時代は皇子に序列がなく、皇子だったら(母方の実家の力はあるにしても)、平等に王位争いができたようです。

だから、その後の李王朝時代では、かえって厳格に誰が王位を継ぐか、長子が優先、母親の位が優先っていうのはあらかじめ決めていたんでしょうね。

 

ドラマを見始めて、高麗時代について、ネットを探ってみましたが、

初代皇帝のワン・ゴン(王健)(チョ・ミンギ)の子どもたちの名前が、

ドラマと同じだったので感激しました。

第3皇子のワン・ヨ(ホン・ジョンヒョン)も実在ですが、

中国版にはこの役の人はいなかったようなので、ワン・ヨの話は、中国版と違うそうです。

 

そして、系図を見たら、正胤(皇太子)(キム・サノ)が2代目(恵宗)、ワン・ヨが3代目だということはわかりました。

フムフム、ヨ皇子は皇帝(定宗)になるのね。。。

 

で、ヘ・スが国史の授業の中で覚えていた、「血の君主、光宗」は誰なのかと言えば、

系図では明らかに、第4皇子、ワン・ソ(王昭)。

そして夫人は、異母妹で、その次の皇帝は、この二人の子どもであることがわかります。

 

ワン・ソの母、皇后ユ氏とワン・ウク(カン・ハヌル)の母(皇后ファンボ氏)はともに皇后でしたが、

二人の息子が皇帝になったユ皇后の方が、権力は大きかったのでしょうね。

 

第8皇子ウク(旭)の2人の娘は、後にワン・ソの息子に嫁ぐようで、一人が「千秋太后」になるようです。

 

ウクの家系は「ファンボ氏」ですが、韓国では珍しい2文字の姓ファンボは、

チェオクの剣」のファンボ・ユン様を思い出します。

 

光宗ワン・ソの後、系図は、この第8皇子ウクと第13皇子ウク(ドラマではペガ)(ナム・ジュヒョク)から後世につながります。

 

ドラマの最後に、愛するウヒ(少女時代のソヒョン)を失ったペガが各地を放浪した後、ウクの屋敷に来ますが、ウクの娘に会います。

どうやらこの子が千秋太后にならない方の娘らしい。

 

実際にもペガはウクの娘と結婚していて、

というか、ウクの娘はワン・ソの息子の奥さんなので、

不倫だったようですが、子どもは皇帝になります。(ややこしい)

ドラマでは子どもがウヒの面影や、象の飾り物を持っていて、

いろいろ想像すると、ペガはウヒを忘れられなくて、不倫とかいうことになったのかなあと、想像が膨らみます。

 

ウクもペガも、皇帝にはなりませんでしたが、皇帝の父となったことで、あとから位を授けられています。

 

韓国版を作ろうと思って、この時代背景を探したのか、

中国版を見ていて、このつながりを思い出しちゃったのかわかりませんが、

この関係をはめていく過程はものすごく楽しかったんじゃないかなと思います。

 

皇宮のある場所・松獄(ソンアク)は、今の開城(ケソン)だそうで、

この地名は「ファン・ジニ」でも出てきたところです。

 

というわけで、系図を見ると、ドラマの先がちょっとわかっちゃうんですが、

それがどうつながるか、というストーリー展開の面白さは、系図を超えていました。

 

その後の戦争で高麗時代の書類が燃えてしまったために、はっきりとわからないことも多いそうで、

わからないことをつなげげていくという作業が、また想像をかきたてるのに一役かったのでしょう。

 

さて、キャスティングのことなんですけれど、
全体を通してみれば主役はイ・ジュンギさんなんですけれど、
このドラマの前半を面白くしたのは、第8皇子ウク役のカン・ハヌルさんだと思います。
下女のチェリョン(チン・ギジュ)が高麗一の皇子というように、文武両道だし、穏やかな性格だし、イケメンだし、言うことのない皇子役でした。

21世紀からやってきたヘ・スが、
元の世界へ帰ろうともがくより、なんとかここで生きていこうというように気持ちを切り替えられたのは、このウク皇子のおかげです。

自ら王位争いに巻き込まれようとせず、
家のためにへ家から妻をめとって、静かに暮らしていたところへ、
ヘ・スが周囲をかき回すようになります。
はじめはいぶかしんでいたウク皇子も、だんだん心をほぐされ、彼女にひかれていく。
妻のヘ・ミョン(パク・シウン)に不満があるわけではないのだけど、
彼女が体が弱いために、何かと配慮しなくてはならない。
ウクにとってはその配慮はそれほど苦痛ではなかったと思いますが、
ヘ・スの型にはまらない、突拍子もない行動にだんだんいやされていくんですね。
ヘ・スもウクの誠実な人柄にひかれていきます。

キャスティング的にはワン・ソをだれがやるか、
対立するウクをだれがやるかっていうのが一番ポイントだったと思います。
ベテランのイ・ジュンギと若手のカン・ハヌルっていうのが良かった。
カン・ハヌルは「ミセン」のときにうまいなあと思っていました。
史劇ではどうかとおもいましたが、イ・ジュンギさんに引けを取らなかったですね。
どちらにもヘ・スが好きになる理由がなくてはいけないと思っていましたが、
両極端な風貌と性格なのに、そこは納得できた感じです。

あと、「8人の皇子」ということで、
上二人は王位争いに絡むので、王にふさわしいというか、
そういう外見とか演技が必要かと思いましたが、
意外だったのは下のほうのアイドル風の皇子たち。
物語の展開上、ちゃんと役割があって、
終わってみれば、それなりにあとに残る良い味がありました。

多くの人は、後百済の王女ウヒとの悲恋があったペガがいいと思うと思いますが、
私は、最後の最後にヘ・スをかっさらったジョン皇子(ジス)が~!!
「望む」とだけ言えばいい、というのはすごくかっこいいセリフでした。
ジョンは来るかどうかわからない「その日」のために、皇帝になったワン・ヨにも、
ちゃんと一筆書かせていましたね。
ジョンがいなかったら、ヘ・スは皇宮でもっと苦しむことになったかもしれない。
ワン・ソの元で子供を産んでいたらもっと違ったかもと思いますし、
最後にワン・ソに会えないまま死んでしまうのか~と思うとかなり切なかったですが、
ヘ・スの産んだ娘がかわいくてね~、

ジョン皇子が大事に育てていてよかったなあと思います。
この子はすごくヘ・ス(IU)に似ている子役で、ワン・ソ(イ・ジュンギ)に似てなくてよかったなあと(^^;

それから、子犬皇子、ワン・ウン役のベッキョン君はドラマ初出演で、
演技が拙いんじゃないかと心配でしたが、
その拙さというか、幼い感じのところが、結婚をいやがるところとかにうまく出ていましたし、
何より、最後にあの悲劇ですから、そのギャップに驚きました。
ずっと彼のことを好きだったスンドク(ジ・ヘラ)も美人じゃないけど、とてもかわいかったです。
結局、愛する人と最期を共にできたのは、ウン皇子一人だけでしょ?
まあ、かわいそうな最期ですが。

最期くらい、ヘ・スはワン・ソと会えて、理解しあえて死ぬとかだったらと思いましたが、
おそらく、その思いを後世に託すという続編への伏線だったのでしょうね。
今の状況ではたぶん続編は作られないと思いますが、残念です。

アイドルがキャスティングされると、きまって「演技論議」が起こるので、
今回も、序盤はIUに対してかなり論評が手厳しかったようですが、
21世紀からいきなりやってきたことによる、ずれというか、違和感というのは、よく出ていたと思います。

彼女の演技よりも、むしろイ・ジュンギとの年の差のほうが心配だったかもと思います。
(しかも、イ・ジュンギさん、ほかの兄弟ともけっこう年が離れている(^^;)

びっくりするのは、ヘ・スの高麗時代への溶け込み方ですね。
この子は現代にいても、こうやってまわりをおどろかせながら、受け入れられていく子なんだろうなと思います。

私は時間がたって、尚宮になって出てきたときは、びっくりしました!
あれ~、尚宮になっちゃったよ~と思って。
しかも大変それらしくて。

かえって、最初から王女然としているべきウヒのほうが、なんかギクシャクしている感じでした。
でもさすがにソヒョンはとてもきれい。

一人だけの皇女、ヨナ(カン・ハンナ)も美人は美人なんですけど、
韓ドラによくあるタイプで、美人なのにあまりまわりから顧みられないタイプで。
まあ、兄妹っていうこともあるでしょうけれど、
彼女は最初から、ワン・ソとかには色目を使っている感じでしたよね。でも誰よりも、愛とか恋とか関係ない立場でした。
この女優さん、あまり知らない人でしたが、最初から最後までいいところで出てきて、おいしい役でしたね!

 

とにかく面白かった「麗」。

私が過去に見たドラマでも5本の指に入ります!

中国版も見ようかと思いましたが・・・。皇子が辮髪なんですよね。

入り込めるかなあ。

 

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【作品メモ】

  • 韓国放送:2016年8月~ SBS月火ドラマ
  • 演出:キム・ギュテ、脚本:チョ・ユニョン
  • 韓国のタイトルは「月の恋人ー歩歩驚心 麗」
  • 20話
  • 原作は中国の小説「歩歩驚心」