韓ドラとソウルホテルと。

韓国ドラマのレビューブログ(基本的にネタバレ)。ときどき昔話。

青い海の伝説

yoonaのココが見どころ!

■ファンタジー・ロマンスとミステリーを絡めていて、中だるみがなかった!

■すごい女優たちのオンパレード。

■チョ・ジョンソクさん!

前評判も高かったし、視聴率も良かったし、キャスティングもいいし、

見た人もみな「面白かった」といっていたので、

いつかは見なくちゃと思っていた作品。

 

ストーリー的には、チョン・ジヒョンの前作、「星から来たあなた」では、

宇宙人と人間の恋の話で、

このドラマと「トッケビ」(人間と鬼の恋)が同時期の放送だったそうで、

人間同士の恋愛はもう壁を乗り越える恋愛の話は描き切れないのかなと思ったりして。

 

トッケビ」も韓国の昔話がベースにあったと思いますが、

このドラマも韓国の説話集「オウヤダム」の中にある人魚伝説を元にしているそうで、

そこからお話を壮大に広げていったのでしょうか。

 

人魚の恋愛というと、私なんか超昔(1984年)のハリウッド映画「スプラッシュ」とかを思い出しちゃいます。

ダリル・ハンナ、美しかった。相手役は若きトム・ハンクス

あの映画の人魚は、足がめっちゃ重そうだったのに、このドラマの人魚は、足先がほっそりしてて、とても優雅に泳ぎます。

CG技術のたまものなのかもしれませんけど。

このドラマの制作陣はきっとこの「スプラッシュ」を見たんじゃないかな~。

人魚が海で知り合った男を追ってニューヨークに行き、ドラマを見ながらどんどん英語が話せるようになるところなど、そっくりですし。

 

物語は朝鮮時代から。

子どもの頃に出会い、愛し合うようになったタムリョンと人魚のセファ。

タムリョンが結婚することになったが、その初夜にタムリョンはセファに会いに海に行来ます。溺れればセファが助けに来ると思ったタムリョンは海に入り、

予想通りセファはやってきます。

けれどセファは口づけをしてタムリョンの記憶から自分を消し、二人は別れることに。

 

やがて大人になったタムリョンは県令として戻ってきます。

そこで捉えられたセファと再会。二人はまた愛し合うようになりますが、

追い詰められ、海に沈むことに。

 

この500年ほど前の話と登場人物たちが、そっくり21世紀のソウルに蘇ります。

スペインで出会ったジュンジェ(イ・ミンホ)と人魚のシムチョン(チョン・ジヒョン)は再び愛し合うようになりますが、

ジュンジェがやった詐欺のおかげで命を狙われ、二人は崖から海に飛び込みます。

シムチョンは彼を助け、その代わりまた彼の記憶を消して、二人は別れます。

 

ソウルにもどったジュンジェは、詐欺仲間のナムドゥ(イ・ヒジュン)とテオ(シン・ウォノ)と3人で暮らしています。

ジュンジェを忘れられないシムチョンは、大海原を三カ月かけて泳いでソウルにやってきます。

 

ジュンジェ(人間)とシムチョン(人魚)の恋愛がどうなるのかということと、

ジュンジェの生い立ちに関する複雑な親子関係、ジョンじぇの父(チェ・ジョンウ)の再婚相手であるカン・ソヒ(ファン・シネ)と連れ子のチヒョン(イ・ジフン)の確執、

500年前の遺恨を残しながら、現代では連続殺人犯としてソウルを徘徊するマ・デヨン(ソン・ドンイル)、

ジュンジェの大学の同級生であるチェ・シア(シン・ヘソン)とその兄夫婦(井・ジェウォンとムン・ソリ)、その家で家政婦として働くモヨン(ナ・ヨニ)たちの込み入った関係がこのドラマをファンタジーにもコメディにもミステリーにもしていきます。

 

こういうのって、ストーリーをつくる前に、人間関係をどうするか、前世と現世では、違う人でありながら、

魂はなくなっていないというか、ドラマの中の言葉を借りれば、良縁も悪縁も引き継いでいるというか、

そういう設定を考える作業ってとっても楽しいんじゃないかと思いました。

 

それからこの前見たドラマ「ハンムラビ法廷」は、オジサン俳優の宝庫でしたが、

このドラマは有名ベテラン女優の宝庫。

ジュンジェの詐欺にあう成金のマダムにムン・ソリさんが出てきたときは、

なんでこんなちょい役に~?と思いましたが、

この人が最後までちょいちょいかき回すんですよね。

元はそれほどの良い生まれじゃないと思うのですが、マダムらしく振る舞おうとするところがなんともコミカル。

前世では家政婦のモヨンの家の召使いだった夫婦が、現世ではそのモヨンの主人でありながら、なんとなくモヨンの言うことに逆らえないという状況がおかしい。

 

そしてジュンジェの継母はファン・シネさんです。

韓流ブームの最初からいた女優さんですが、このドラマでは最上級の悪女役。

いらつくと、顔がき~っと引きつるところが怖くて~。

永遠に老けない人の代表でしたけど、やっぱり老けましたね。

 

モヨン(実はジュンジェの母)役のナ・ヨニさんも、いろんな人のお母さんや奥さん出よく見る女優です。

 

そしてなんと言っても、チョン・ジヒョン

彼女ももう若手というよりは、このお母さんたちの方に近いと思います。

このドラマの時は、35歳くらい? 第一子を出産直後だったと聞いています。

長く「猟奇的な彼女」を超える作品がなくて、ようやく「星から来たあなた」で再ブレークした後の作品ですけど、こういう浮世離れした役はよく似合っています。

韓国では「美人」の代表格ですけど、私はどうも、どこがそんなにすごく美しいのかよくわからないんですが、

化粧一つで本当に別人になっちゃう人ですね。

 

私的には、イ・ミンホという俳優もそれほど、という感じで、

(いや、かっこいいことは認めるけど)

それでなかなかこのドラマに手が出なかったんですが、

ドラマとしてはすごく面白くて、20話を一気に見ました。

 

普通のラブコメでは、かわいい、性格もいい、世の中のこともよくわかっている、仕事ができたりもする、どこか憎めない欠点がある、けど恋愛はだめ、というヒロインが多い中で、

シムチョンは、まず最初に愛だけを知っていて、その後人間として成長していく姿を描いています。

 

シムチョンの持つ不思議な能力は3つ。

怪力と涙が真珠に変わることと、人間の記憶を消せること。

これは人間に置き換えたら、知力と経済力と世渡り術に置き換えられるのかな。

何も持っていないといっても、人魚が人間世界で生きていくために、これくらいは必要だよねという作り手の配慮が感じられます。

あと、けがの治りが驚異的に早いこと。

骨折と銃によるけがで、シムチョンは2度入院しますが、

ここを追求されたら、人間でないことがばれてしまう。

水をかぶったら正体がばれるっていうのも、何度かあった危機ですね。

 

ドラマを見ているほうをハラハラさせながら、

その都度誰かの機転やボケでくぐり抜けていく展開なので、

それも飽きなかった理由の一つだと思います。

 

それからシムチョンにはできなかったけれど、どうしてジュンジェはシムチョンの心の中が読めるようになったのでしょう。

ほかにも500年前の生まれ変わりはたくさんいましたが、ジュンジェ以外にそういう能力を持った人はいなかったし、彼もシムチョン以外の心の中が読めたわけではありませんよね。

 

シムチョンの心の声が聞こえる人があと2人いました。

水難救助隊のジョンフンと、シムチョンの友達で小学生のユナです。

このジョンフン(チョ・ジョンソク)の登場が、このドラマでは一番ウケました!

いや、男の人魚って!

その発想はなかった。。。

あんまり想像したくない、泳いでいるところ。

彼によって、愛する人が自分を愛してくれなくなったら、人魚は死んでしまうということをシムチョンは知ります。すごい運命だわ。

 

ジョンフンは相手に正体をしられて逃げられ、死んでしまいますが、

そのことがシムチョンをものすごく不安にさせます。

普通だったら、「愛する人がいることが幸せ」ということもあり得るのに、

その人が愛してくれなければ死んでしまう、のですから。

これ、人間もそういう運命だったら悲惨ですわ。

 

それでシムチョンはジュンジェが自分を愛しているかどうか、あの手この手で確かめます。

その対極にいるのが、いつまでたってもジュンジェに思いを打ち明けられないチェ・シアですよね。純粋無垢なシムチョンには自分を投影できなくても、どうしてかチェ・シアには同情できるところがある。

急場をしのぐためにテオがシアのことを好きだといったことを真に受けてしまうのも、なんかかわいげがあります。

 

シアはジュンジェと同じKAIST(科学技術院)という、超優秀な大学を出ていて、彼女の携わる考古学の研究によって、ジュンジェが朝鮮時代のタムリョンの生まれ変わりであるという秘密がわかってきます。

シアをいかにも優秀でエリートっぽい性格にせず、下手にジュンジェとシムチョンとの三角関係をドラマの中心に据えなかったところも良かったです。

シムチョンの子どもっぽい焼きもちが、深刻にならずにすみました。

 

ジュンジェは継母の差し金でマ・デヨンに命を狙われます。

マ・デヨンもまたジュンジェと同じように悪夢に悩まされていて、その謎を解くカギとして、シムチョンも狙われてしまう。

ソン・ドンイルさんは、このところ私が見ているドラマには必ず出てくるんですが、

あんなに良い父親になったり、立派な判事になったあと、極悪人にもなるんですから。スゴイ人です。

 

ジュンジェとシムチョンの恋愛の他に、ジュンジェと兄のチヒョンの確執というのも、このドラマのもう一つの柱でした。

チヒョンの父親がだれかって薄々わかってきたとき、彼にも幸あれ!と思いましたが、そうはならなかった。

そうならざるを得なかった、彼の最期でしたね。

 

ジュンジェとナムドゥ、テオが詐欺グループだということが、

殺人事件の解決にも役だっていきます。

ドラマの仕掛けとしては、見ている方もあれ?と思わされるくらい、彼らはおしゃれに詐欺を働いているんですね。

後半で、ナムドゥがチヒョンに寝返り、ジュンジェの命を狙うところでは、

ああ、これは絶対なんかあると思えましたが、見え見えではなかったところが良かった。

その伏線として、なんどかシムチョンの正体を知ったナムドゥが、お金のために目の色を変えるシーンがありましたから、彼はそういう人なんだなと思わせるには十分でしたし。

 

最後はすんなりハッピーエンドになるのかと思いましたら、シムチョンが海へ帰るという展開がまっていました。

3年後に戻ってきたのは、まあドラマの都合上、それ以上だと人物たちの外見を変えないといけませんしね(^_^;

やっぱり人魚のシムチョンがソウルという都会で暮らしていくには何かと不便があるでしょうし、海辺のあまり人けのないところに二人で幸せにくらしましたとさ、というラストは、おとぎ話っぽくて良いと思いました。

 

私は常々、人魚=美人というのはどうなのか、

頭と足が逆だったら怖いだけだろ、と思っていました。

人魚が人間に合わせて生きることになったのは、

二人して海にもどった「スプラッシュ」とは逆の結末なので、どっちがいいのかなと思ったりしました。

 

 なんか、書こうと思ったこといっぱいあったんですが。

 

2人のファッションはすごかったですね。長身のモデル体型をとことん生かしたというか、常人では考えられない組み合わせも着てました。

シムチョンが海から上がってくるときにもってた貝のセカンドバックは良かった~。

涙が真珠になる、でもうれしいときの涙は一番きれいなピンクの真珠になるというのはいいですね。ジョンフンも1つしか持っていなくて、それを愛した人に残しました。

シムチョンがジュンジェに残した1粒もピンク色でしたね。

 

前半部分の最後には「エピローグ」という謎解きシーンがついていましたが、

後半にはなくなりました。

枝葉の話がおおかったから、これがあって面白かったです。

 

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【作品メモ】

韓国放送:2016年11月~

演出:チン・ヒョク 脚本:パク・ジヨン

全20話