韓ドラとソウルホテルと。

韓国ドラマのレビューブログ(基本的にネタバレ)。ときどき昔話。

無法弁護士~最高のパートナー~

yoonaのココがみどころ!

イ・ジュンギ、久々の現代もの。テコンドーで鍛えた派手なアクション。

■復讐ものっていうのは、人の恨みが蔓延していて、見ていてけっこうつらいというか疲れます。

■韓国の悪役は「改心しない」。というか根っからの悪人であることが復讐劇を可能にしている。

 

 「麗」を見て以来、イ・ジュンギのドラマを見たいと思ってたんですが、

ようやく見られました。

あの強い視線ゆえに、どうも史劇の格好のほうが似合うというか、現代ものであの目つきの人がそばにいるのはちょっと怖いというか。

 

物語の舞台は「綺山(キサン)市。ここは架空の市のようです。

やくざあがりの市長がいて、市を牛耳っている悪い裁判官がいる町だから、実在の市にしたらイメージダウンもはななだしいでしょうね。

ロケ地は仁川あたりらしい。

 

ポン・サンピル(イ・ジュンギ)は、幼い頃(10歳)で母(シン・ウンジョン)と死別。人権派弁護士だった母はサンピルの目の前で殺され、サンピルはソウルの暴力団のボスであるチェ・デウン(アン・ネサン)に引き取られた。

 

兄が暴力団で妹が人権派弁護士っていう設定については説明がなかったので、なんか違和感が合ったのだけど、まあ、そういう設定ってことで。

サンピルは司法試験に受かるだけの頭を母から、けんかの強さは伯父に似たのだと言うことにしたいのかと。

サンピルの父については、まったく出てこないので、そのあたりは想像がたくましくなるところ。

 

サンピルは伯父の組の構成員として育ちながら、母と同じ弁護士となり、母の復讐をするために、故郷・綺山に戻ってきます。母が弁護士事務所を開いていたところは、貸金業となっていたが、そこの従業員ごと新たに弁護士事務所を開設。

 

そのころ、ソウルで、裁判官をなぐって停職処分となっていた弁護士のハ・ジェイ(ソ・イェジ)も、故郷の綺山に帰ってきていた。実家の写真館は父親(イ・ハヌィ)がいたが、母親は幼い頃に失踪していた。

 

サンピルの母の死とジェイの母の失踪した日は同じ。そのことをサンピルは知っていて、自分たちの母親の死と失踪に関わる相手が同じだということもわかった上で、綺山にやってきて、ジェイをひきいれて復讐を始める。

そういえば、写真館の娘であるジェイがどうして弁護士になったのかっていうのも、あんまり明らかではない。

 

ジェイを事務所に引き入れる過程とか、事務所に残ったチンピラ軍団とのやりとりがコミカルなので、復讐劇というおどろおどろしさが物語を通して感じられるわけではないが、

長年にわたって、綺山すべてを牛耳ろうとする者たちの残忍さというか、救いようのなさには、ちょっとげんなりする。

 

政財界、法曹の上層部がグループを作って蓄財するっていうのは、この前に見ていた「スイッチ」の設定と似ている。こういうの、良くある話なんでしょうねえ。

そこに挑むのが、「スイッチ」では検事だったが、このドラマでは弁護士ということになるわけで、「スイッチ」では詐欺が相手を追い詰める手段だったけれど、こっちでは「拳」ということになっている。

 

イ・ジュンギさんがテコンドーが得意ということが活かされたアクションシーンもたくさんあって、イ・ジュンギさんはスタントなしでこのシーンをこなしたとか。

「麗」のころからすごく細身になって、というかムダな肉がなくなってそぎ落とされた感じになっていたけれど、スーツを着ているとスゴイ細身なのに、どこにあのムキムキで柔軟な筋力が隠されているのだろう。

 

ジェイ役のソ・イェジさんが一番若い位で、特に新人俳優がいない中、悪役側は、超ベテランのうまい俳優さんがずらっと出てきて、目つきや口調の怖さもぞっとする感じも倍増しています。

元ヤクザの市長、アン・オジュ役のチェ・ミンスさんも、いや、どうやって育ったらそこまで賢い頭を悪巧みにばかり使えるの?と思わずにいられないチャ・ムンスク役のイ・ヘヨンさんも、うまいが故に、怖すぎました。

チェ・ムンスクの秘書役のナム・スンジャ(ヨム・ヘラン)も、いかにも品のない浅知恵の女っていう感じで、もう何か言うたびにむかつきました。

 

韓国のドラマっていうのは、悪人は最後までけっして改心しないので、途中でもまったく心が動く様子がない。悪役同士、結束が堅い時はいいのだが、どこかにほころびができると、誰かを切り捨てたり、罪をなすりつけたりすることで、対立が深まっていく。そうやって一人ずつ陥れられて、最終的にはみずから破綻していくっていうのがお決まりだけど、現実には、善良なほうが負けちゃうことも多いんだろうなと想像できます。

 

最初は悪態をつきながら一緒に仕事を始めるサンピルとジェイですが、ジェイの母が殺されたこと、お互いが同じ傷を持つことがわかって、急激に距離を縮めます。

というか、バックハグは良かったけど、そこからキス、一夜をともにするまでが早かった~。

いや、君たち、お互いに気になるところはあったかもしれないけど、その急展開にはちょっと驚いた。そして、その後はラストまでほぼ進展しないことにも驚いた。

そこも、いや、この二人どうなっているんだ?と想像をたくましくしないといけないところかも。

 

ドラマはあくまで「復讐」を軸に展開していくので、甘ったるいロマンスを挟むヒマがなかったのかもしれないが、二人の関係の進展は、お互いが命の危険にさらされるとか、そういう場面を超えてからでもよかったかな~と思う。

 

描かれていないといえば、チャ・ムンスクと言う人が、どうしてそこまで強欲なのかも想像するしかない部分だ。

市民の尊敬を集め、銅像まで作られた父親も、物語の中で、同じように強欲だったことが語られるが、その父と同じ道をたどってしまう理由はよくわからない。

母親の存在もないし、家族は弱点になるからとあえて家族を持たなかったと言うところも、彼女の成長過程に悪影響を与える大きな欠陥が合ったということをうかがわせる。

そこが描かれないのは、見ている方がちょっとでも彼女に同情しないようにと言う配慮なのかもしれない。

復讐する側のサンピルやジェイが、復讐することをまったくひるまないほど、チャ・ムンスクという人には救いがない。

 

どうでもいいけど、綺山にあるチャ・ムンスクの住む豪邸は、ソウルにあるウォーカーヒルホテルの最高級ヴィラ・アストンハウスがロケ地。

「家は賃貸で、父の財団が買ったところに間借りしている」という台詞が出てくるけど、漢江の眺めが最高のロケーションだ。

公務員である裁判官の住居としては豪華過ぎて、チャ・ムンスクの蓄財ぶりがうかがえる。

 

一方、アン・オジュと言うチャ・ムンスクに操られていたヤクザ上がりの市長には、ぞっとするような怖さもありながら、子分を大事にするところや、チャ・ムンスクに翻弄されるところなどがあって、最後はちゃんと捕まって法の裁きを受けたらいいかなと思ったが、結局、そうはならなかった。

彼だけでなく、サンピルの復讐によって、多くの人が死んだと言うことは、復讐という行為のむなしさを感じるところでもある。

 

なので、復讐劇っていうの、あんまり好きじゃないんですよね。復讐がおわってうれしいのは(うれしいのか?)、本人だけですから。

 

一連の事件が片付くと、サンピルとジェイは、ソウル地検の特捜部にいくことになったチョン・スンボム検事(パク・ホサン)に誘われ、ソウルに赴くことになる。

今度は地方ではなく中央政界の不正を暴くことになるのだが、これはシーズン2への布石?なのか。

 

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【作品メモ】

韓国放送:2018年5月 tVN

演出:キム・ジンミン 脚本:ユン・ヒョンホ

全16話