yoonaのココがみどころ!
■パク・ボゴムとソン・ヘギョというキャスティングだけで、かなりの話題。
■舞台となるホテルが「トンファホテル(童話ホテル)」というだけに、めでたしめでたしというラストが期待できるロマンス。
■キューバはキレイ。もっと大人のロマンスを想像しちゃう。
半年ぶりくらいにドラマに戻ってきて、夏から録画しっぱなしだった「ボーイフレンド」を見ました。
ソン・ヘギョさんの結婚後最初の作品ということで、キャスティング当時から話題のドラマでしたが、
相手役にパク・ボゴム君が決まって、期待感が一層高まった作品だったと記憶しています。キャスティングの話題が先行するドラマって、イマイチなことが多いんですよね。
「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」がちょっと先だったのかな?
韓ドラは年下ブーム。それも10歳くらい違う俳優がキャスティングされている。
「ボーイフレンド」では、ボゴム君は「28歳」と言っているし、ヘギョちゃんは「30代なかば」と言っているから、7~8歳差の設定だと思うけれど、実際には11歳差。
見るからにボゴム君の「若さ」がちょっと釣り合わない感じがしてました。
ドラマ全体の印象としては「気取ったドラマ」というのが私の感想。
運命のように異国で出会い、母国でお互いの格差を目の前に突き付けられながら再会するという設定が、さしたる意外性もなく展開していく。
就職前にキューバのハバナを一人旅するキム・ジニョク(パク・ボゴム)は、ハバナのホテルと提携を結ぶために出張で来ていたトンファホテルの社長、チャ・スヒョン(ソン・ヘギョ)と出会う。
ひと時をすごすうちにスヒョンに惹かれたジニョクは、名前も聞かずに翌朝も会う約束をして別れるが、急な仕事で彼女は来なかった。
帰国の途につくジニョクは、同じ飛行機にスヒョンが乗り合わせたの知ってたけど。
帰国したジニョクに届いたのは「トンファホテルへの就職決定」の知らせ。
ここで、「トンファホテルかよ」とちょっと失望した。
物語としては、それが一番面白いかもしれないけれど、できすぎ感も否めない。
ドラマ全体を通して、二人にいろいろなピンチが訪れるが、どれも事前に予想することが容易で、ジニョクがトンファホテルに就職すること以上の驚きはなかった。
なので途中から「これは童話なのだ」と思うことにしてみた。
姫が毒リンゴを盛られたり、いじわるな継母や姉妹が現れたり、悪魔が魔法をかけたりするかもしれないが、それはいずれ「愛に負ける」ことによって消えてなくなり、心を閉ざしていた姫も、あたたかい性格の王子のやさしさにつつまれて幸せをつかむことになる。
そうわかって見ていると、さて次はどんな嫌がらせが二人を襲うのかな? それはどうやって解決されるのかな?というところに興味が移って、
スヒョンのことが好きで好きでしょうがないジニョクと、ジニョクが好きだけど、私のせいで彼が不幸になるのは見たくないわとか思いながら身を引こうなんて思っちゃうスヒョンの関係のまどろっこしい感じも、それほど感情移入せずに見てしまう。
「も~、全部捨てて、二人でどっかへ行っちゃえば?」と言いたくなる。
そうできないのは、スヒョンには「私のすべて」というほどのトンファホテルがあり、ジニョクには温かい家族があって、お互いにそれを捨てられないからなのだが、
二人の間の強い結びつきと、それぞれが大事にするものへの愛情が、周囲の圧力を打ち負かすというか、
童話としてはそうならざるを得ないということなのかなと思う。
もしスヒョンがホテルを捨て、ジニョクが家族を捨てて、二人で異国で暮らそうということになれば、それは童話じゃなくてドラマになるだろうし、
二人が周囲に負けて、引き裂かれることになっても童話にはならない。
二人の物語の背景に、(スヒョンが嫁いだ)財閥のテギョングループが、スヒョンの父(新聞記者だったが国会議員に立候補した)に裏資金を提供していて、それがスヒョンを苦しめ続けているという今どき風の状況があって、
さすがにそれはジニョクにはどうしようもないんだけれど、
それはスヒョンの父が助けてくれることになるし、娘の幸せよりも大統領夫人になることを夢見ていた母親も改心することになる。
お金と権力でスヒョンを威圧し続けた義母も結局は(改心したかどうか知らないけど)、姿を消した。
スヒョンの元夫も根はいいやつだったようだが(童話だから)、彼がもうちょっと粘るとか陰湿な奴だったら、もうちょっとこう、何とかなったのかも。
自分たちのささやかな幸せが壊れるのではないかと心配したジニョクの母が、スヒョンにジニョクと別れてくれるように頼みにくるけれど、
普通の韓ドラだったら別れろといって札束を持ってくるのは財閥の母親のほうで、
童話であるこのドラマでは、庶民の母親が「みかん茶」をもって別れを懇願しに来ている。
この母親は不思議で、普通の韓国の母親は「年上、バツイチ」というところに反対理由を持ってくるけれど、そこはスルーしてた。もしジニョクの母親が、「格差」ではなくそこを突いていたら、スヒョンの対応はまた違ったかもしれない。
ともあれ、韓国ドラマってやっぱりかき回すのは主役二人ではなく「オンマ」なんですね。それは「冬ソナ」の昔から変わりません。
前から、ロマンスは財閥御曹司と庶民女子の組み合わせのほうが成り立ちやすいと思っていたけれど、このドラマをみて、庶民はスヒョンに感情移入しずらいので、やっぱりそっちの方がいいかなと思えてくる。
スヒョンを囲む脇役たちの関係も結構入り組んでいました。運転手のナム室長(コ・チャンソク)と広報部長のソンジュ(キム・ヘウン)の兄(過去に死亡)は、スヒョンの父の元同僚で、この二人が何かとスヒョンとジニョクの関係を応援してくれている。
この父親周辺の話はさらっと語られていて、あまり深堀りされていないのだけど、その辺は、メインの「童話」に集中させようという演出のためだったという。
等々、ぶつぶつ思いながら、また最後まで見てしまいました。
社長と平社員のまま結婚する二人の今後のほうが、「ドラマ」になりそうな気がします。
ジニョクが持っていたカメラとか、ジニョクが引用する詩や絵画とか、いかにもな小道具が随所にちりばめられていて、それがファンタジーな雰囲気をより深くしていたと思います。(いや、ちょっとクサイところもあったけど)
ドラマのオープニングには、毎回違う絵が使われていたそうで、それは録画を消してしまった後から知ったので、良く見なかったんですけど、いろいろ物語のことを示唆していたようです。
このドラマの放送が終了した後に、ヘギョちゃんの離婚が報じられました。
ドラマのボゴム君と良い感じだったので、浮気相手はボゴム君じゃないかとまで報道されて、そんなことも多少片隅に置きながら見ると、また違って見えるかもしれません。
ヘギョちゃん、下手じゃないしまあ綺麗なんだけど、「太陽の末裔」の時も思ったけれど、ちょっと意識過剰というか、戦地で埃だらけの場所でも素足は丸だしだったし、今回も30代の離婚歴ある女社長にしてはスカート短すぎと思ったし、化粧も髪型も一ミリも崩れないし、
その辺に役柄じゃなくて「ソン・ヘギョ」が見え隠れするところがどうもちょっとな、と思います。
あと、タイトルの「ボーイフレンド」は、韓国語ではそのまま「남자친구(ナムジャチング)」なんだけれど、どうも「ボーイフレンド」というより韓国語のままのほうがぴったり来るように思います。タイトルからみて、もっと軽く、単なるボーイフレンドが恋人に代わっていく話なのかなと思ったりしましたので。
いや、物語が進むにつれて、これは最後に「やっぱりお友達でいましょう」というどんでん返しが来るのかな?と思ったりしましたし。
ジニョクは気軽なボーイフレンドというより最初から恋人だったし、彼も「ナムジャチング」と呼ばれることに喜んでいたので、このニュアンスは「ボーイフレンド」という単語で出すのは難しいかなと思いました。
【作品メモ】
韓国放送: 2018年11月~ tvN
演出:パク・シヌ 脚本:ユン・ヨンア
全16話