yoonaのココがみどころ!
■とにかく「韓ドラっぽくない」!
■がんばれば願いはかな・・・わないところがリアル。
■20代の若者層のつらさと40代中堅管理職のつらさの両方を味わう
ずいぶん前から「ミセンをいつ見よう」と思っていたのですが、GWに行きつけのTSUTAYAで準新作が100円というキャンペーンをやってまして、もう今しかないとおもって久しぶりにドラマの一気見をしました。
韓国では20話だったのですが、日本での放送は1話を45分にした34話分。DVD17本です。
これ2泊ずつ借りても結構な金額でしょ?
7泊8日で1本100円キャンペーンはお得でした!
キャンペーンが3日限定だったので、10日くらいで必死に観ました。
でも、一気に見て正解だったかも。
とにかく面白かったです。
すごく評判の良かったドラマですが、今までに見たことのないタイプでしたね。
まず、韓国ドラマらしさが全然ない。財閥も御曹司も不治の病も記憶喪失も一切ない。身分違いの恋もありません。
そこにあるのは、普通にある会社のどこにでもいる会社員たちの日常。
でもそれが面白いんです。
韓国と日本、ちょっといろいろな習慣の違いはありますが、ああ、いるいる、こういうタイプっていう人たちのオンパレードで、会社勤めをしたことがある人なら必ず思い当たる人が絶対に出てきます。
主人公は囲碁のプロをあきらめて26歳でコネを頼って商社のインターンになったチャン・グレ(イム・シワン)と、彼の上司となる営業3課のオ・サンジン課長(イ・ソンミン)を軸に動きますが、
会社ですから、常時いろんな人がいて、いろんな事件や問題が同時に起こってくる。
日本でも今は大学の在学中に企業にインターンに行ったりしますが、韓国の就職難はもっと壮絶で、卒業してからようやくインターンになれて、
その先の正社員への採用を目指すということですから、その競争ぶりも一つ見どころです。
ドラマですと、だいたい成功や大団円に向かって話が動くのですが、
現実はそうじゃないよねといつも思う通り、このドラマでもまったく思うように話が進みません。
目立つ登場人物はたくさんいますが、それぞれの人が主役になってもドラマが成立しそうなくらい。人生では自分(グレ)だけが主人公ではなく、それぞれが自分の人生の主人公ですから。
その関係や思惑の込み入り方に夢中になって見てしまいました。
まだ韓国ドラマを見たことがない人に、いきなりこれを薦めるのはためらわれますが、
(だって韓ドラっぽくないので)
少し韓ドラをかじって、次に何を見ようかなと思っている人には、ぜひにとお薦めしたいドラマです。
ウェブ漫画が原作だそうで、そちらは続編が出ているとのこと。
ドラマも続きが出そうです。
その伏線もあってか、ドラマの後半(韓ドラではいつものことですが)、ちょっと話がもたつきます。
最後の海外のエピソードはその思わせぶりがすごかったです。
この原作漫画の作者はビョンホンさんの映画「内部者たち」の原作者でもあるのですが、、ストーリー展開が現実社会の問題点をリアルに再現しているところが似ていると思います。
「太陽を抱く月」で一躍スターになったイム・シワン君が本当にいいです。
彼はきれいな顔ですけど、このドラマではそれが売りではない。
どっちかっていうと彼の「低めの身長」が、ほかの背の高い俳優の中で、右往左往するいい感じになっています。
韓国ではどういう人にこのドラマを見てほしいかというアンケートを取ったときに、「どうしてサラリーマンはお酒を飲まずには家に帰れないのかを知ってほしい」という答えがあったそうです。
それ、よくわかる。
いまどきは会社の上司とは飲まない社員が多いそうなので、お互いを知るのは大変だろうなとも思ったりしました。
そこそこの規模の会社で働いたことがあるなら、
このドラマの登場人物たちが立ち向かう困難には、いちいち納得できると思います。
ライバルは同僚だったり、目の上のたんこぶは上司だったりしますが、
それぞれに家族の問題を抱えていた李、さらにその上の上司と衝突したり、
仕事をどう進めるか以外にも毎日難題がいっぱい。
大変なのは自分だけじゃない、みんなそうなんだと思えたとき、
手をとって一つの目標に迎えるんですね。
チャン・グレは、結果的には、彼にとって最もいい上司に巡り合えたと思います。
たとえ配属先が、本流から外れた部署であっても。
営業3課に満足できる新人が入ってこなくても、チャン・グレの能力を見抜いて、
仕事の中でそれを伸ばしてくれるオ課長だったのですから。
オ課長は仕事を教えてくれたのではない、仕事をするってどういうことか、ということを教えてくれたのだと思います。
チャン・グレの同期たち、男尊女卑の会社に立ち向かうアン・ヨンイ(カン・ソラ)、上司との関係に悩む秀才・チャン・ベッキ(カン・ハヌル)、要領のよいハン・ソンニュル(ピョン・ヨハン)は、
このドラマ以降、主役級でブレイクしていく俳優たちが演じています。
彼らがけっしてかっこうよくない、働く若者をよく演じたことで、
その後よく演じなければいけない配役をもらっていったと思います。
思わず惚れてしまうようないい男は、残念ながら出てこないんです。
これ、普通の日常の話ですから。普通はそういう人はいないじゃないですか。
それもリアル。
でも性格的にはこういう人、いるよな~と思う人がいっぱい出てきます。
このドラマの舞台が商社だったということも、面白かったことの一つです。
私はちょこっとだけ商社勤めをしたことがあって、
海外と取引をすることの難しさ、面倒くささ、そして面白さをちょっとだけ知っているからです。
商社は自分ではモノを作らない会社ですが、それだけに自分でいちいち確かめないといけないことが山ほどあるんですね。
売るもの、買うもの、取引相手を徹底的にしらべて、契約に照らし合わせなければいけない。ただ数がそろえばいいというわけではない。それだけにいろんな関係者も増えるし、トラブルも起きる。取引先だけではなく、社内の力関係も大きく関与します。あん
チャン・グレの仕事は最初はデータを探すという小さいものでしたが、どんどん仕事の幅広がり、深くなっていき、最後は外国にも羽ばたいていきますよね。
学歴のないグレが仕事によって成長していくのは痛快でしたが、組織の壁には阻まれるところは、本当に現実を突きつけられた思いです。
世の中そうは甘くないけれど、グレの可能性には夢を見ることができる。
希望のある終わり方でした。
シワンくんが除隊しましたので、いずれ続編があるのでは、と期待しています。
その後、このドラマは日本でリメークされました。
10話くらいにきゅっと縮めるのだから、どうなるのかなと思ってみましたが、
けっこう忠実なリメークでしたが、いいところ、いいセリフだけをかいつまんだ感じだったので見ていてまどろっこしいというか、すごく表面的な感じで残念でした。
日本版がすごくよければ、韓国版を見ようという人ももっと増えたと思いますが。
【作品メモ】
- 韓国放送:2014年10月~ tvN
- 演出:キム・ウォンソク、脚本:チョン・ユンジョン
- 20話
- 原作はユン・テホ作のウェブ漫画
- 「未生(ミセン)」は囲碁用語で、生きてもいないが死んでもいない、という意味。劇中、オ課長が屋上でグレにこの言葉の話をする。生きるも死ぬも次の手(自分)次第だということを言おうとした、と思う。