韓ドラとソウルホテルと。

韓国ドラマのレビューブログ(基本的にネタバレ)。ときどき昔話。

ミスター・サンシャイン

yoonaのココがみどころ!

 

イ・ビョンホンさん、「アイリス」以来のドラマ作品

Netflixで韓日(というより世界中で)同時放映

■でも、日本人がみるのがつらくなるシーンがいっぱい

■時代劇ですけど、大メロドラマです。

 

韓国とほぼ同時にNetflixで放送が始まり、

韓国での放送が終了するのを待ってNetflixに加入、

1ヵ月の無料視聴期間に見よう~と思っていたのに、

なんだかんだで結局、無料期間も過ぎてから見ました。

見始めたら一気に見ちゃいました!

 

ビョンホンさんの久しぶりのドラマということもありますし、

期待も大きかったのですが、

混乱の時代を描いた時代劇と思いきや、最後は思いっきりメロドラマで!

 

でもこのドラマ、日本での放送、たとえCSでもないかもしれません。

それほど、日本軍の描かれ方が、日本人としてはちょっとなあと思うほどひどくて、お

いずれ日本でも放送してほしいなっていう配慮はみじんもありません。

キム・ウンスク作家ものは、もう当たるってわかっていますから、

日本に媚びる必要も全くないのでしょうしね。

韓国人が作る韓国の歴史ドラマなので、文句を言ってもしょうがないんですけど。

 

あと、日本人役の人が話す日本語も、まあネイティブじゃないのでしょうがないのでしょうけれど、聞いてらんない、という感じです。

伊藤博文役の人が一番うまかったかな?

 

奴婢の子にうまれたユジン(イ・ビョンホン)は、

両親を両班に殺され、米国人の宣教師についてアメリカに向かいます。

そこでユージーンという名で米国人として海軍将校となり、

朝鮮に駐留する任務のために祖国に向かいます。

 

当時の朝鮮は、李氏朝鮮の末期、王様は高宗、アメリカに開国を迫られ、

日本とも緊張関係にありました。

日本に取り入って、生き延びを図ろうとする派と、朝鮮の独立を目指す運動を続ける派の戦いが続いていました。(私の理解では)

両班のコ家は独立運動を支援し、孫娘のコ・エシン(キム・テリ)はひそかに射撃の腕を磨いています。

エシンの父(コ家の跡取り息子、チン・グ)は、日本で独立運動を続けていましたが、仲間の裏切りで妻(キム・ジウォン)とともに亡くなり、エシンだけが朝鮮の祖父の元に帰りました。

この夫婦というちょい役に、前作「太陽の末裔」のグウォンカップルを持ってきたのは、

ちょっと話題性がありましたね。

 

ユジンが任務として不正を働いていた駐韓アメリカ大使を狙撃した際、

もう一人大使を狙っていた狙撃手と目があいました。

ユジンは、それがエシンであることに気づき、エシンもまたユジンに気づきます。

 

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↑このポスターのシーンは、ふたりが顔をかくしていた狙撃手が誰かに気づく場面ですね~。

始めはお互いに警戒していますが、それが意識にかわり、好意に変わり、

やがて恋愛に変わっていきます。

背景は激動の時代。

二人は朝鮮と米国という立場の違い、服従させようとするアメリカと朝鮮を守ろうとする革命家、その上に、両班と奴婢の子という朝鮮では越えることのできない、何重もの障壁を持っています。

家同士が仲が悪いっていうだけの「ロミオとジュリエット」の比ではありません。

 

朝鮮と米国だけならいいものを、

ここに「日本」が絡んできます。独立運動を美化する、現状の朝鮮のおかれた腐敗ぐあいを描くには、日本はとことん悪くないといけません。

もうこれはしょうがないかなと思うくらいなんですが、それにしても、と思います。

日本と韓国の間で暗躍するイ・ワンイクという人物。この人は実在なんですね。

超がつくほど、悪い奴です。

 

ところがこのドラマ、前半では朝鮮を悪く描きすぎて批判されてたそうなんですね。

 

2人の男と1人の女がユジンとエシンにかかわってきます。

男の一人は、最下層の生まれで日本のやくざとなったク・ドンメ(ユ・ヨンソク)。幼いころエシンに助けられて以来、彼女のことを想い続けています。

もう一人はユジンの両親を殺した両班の家のあととりであるキム・ヒソン(ピョン・ヨハン)。エシンの家と違って、大金持ちだけれど節操のないキム家の長男でありながら、放蕩息子。日本に留学中ですが結婚もせずに30を越えました。

ヒソンはエシンの婚約者であり、帰国してエシンと結婚するように親に言われますが、結婚など嫌でたまらない。でも美しく成長したエシンを見て、心を奪われます。

ドンメは身分の違いからどうあがいてもエシンと一緒になることなどできないという卑屈っぽいところがあって、エシンに対してストレートに立ち向かえるヒソンが気に食わない。

 

エシンとも釣り合う年齢の二人は、見ているほうからすると、ユジンはおいといて、ドンメ派かヒソン派かに分かれると思います。

両極端なタイプの二人ですけれど、のちにユジンをはさんで不思議な友情っぽいものが芽生えてきます。

 

女は、ユジンが滞在するホテルの女主人、工藤陽花(キム・ミンジョン)。日本人実業家に嫁ぎ、夫亡き後ホテルの経営を任されています。

ドラマでは、要所要所に出てくるキム・ミンジョンさんがとてもいいです。

最初はキム・サランさんにキャスティングされたとか聞きましたが、ミンジョンさんとてもよかったのではないでしょうか。

どの男にどう気があるのか、場面場面で分からなくなる時もありましたが、

美しく、頭もよく、機転が利く女性として、いろんな危機を救い、暗躍してました。

あとになって彼女の出自が明らかになりますが、いろいろな面で鍵を握る女性です。

 

ビョンホンさんとキム・テリさんの年齢差も当初から話題でした。

確かに20歳くらい違うんですよね。

でもこのユジン役はどうしても英語が堪能でなくてはだめですし、

軍人という役柄、敵として祖国にやってきた朝鮮人など、複雑な人ですので、

やはりビョンホンさんくらいの演技力がないとだめでしょう。

役柄としては38歳くらいの役ですから10歳くらい若いですね。

 

エシンは当時としては「いき遅れのお嬢さん」ではありますが、そうはいっても20代。

キム・テリさんは若く見えますが、28歳くらいなのかな。

演技力は定評がありましたから、ビョンホンさんの相手役として、

また、名家のお嬢様としての品と革命家としての強さの両方を表現できないとなりませんから、きれいなだけの女優さんではだめかなあと思います。

多少ビョンホンさんが老けて見えるというのに目をつぶれば、オッケーでしょう。

 

動乱の時代ですから、人も容赦なく死んでいきます。

それは仕方のないことなのでしょうが、ドラマとしてはかなり切ないことも多い。

死んでしまえ~と思うのが日本人ばっかりというのも、けっこうつらいです。

いろんな人の「死に方」は、一つひとつ、ドラマだと思います。

そうやって死ぬに決まっていると思う人もいましたし、

なぜそんな風に死ななければならないのかと思う人もたくさん出てきました。

 

最後は、大、大、大メロドラマです。

いや、そんな風に終わるの?と思いましたが、

みんなで生き延びることはできない時代だったのでしょう。

 

BSで放送されることはないでしょうけど、

せめてDVDくらいは発売されてほしいなあと思います。

放送がないので、韓ドラ雑誌にもほとんど取り上げられることがありませんし、

いい作品なのに寂しいなあと思います。

(でも日本人としては見てられないシーンは多いですよ)

 

この時代に韓国人で米国軍人となった人は、実際にはいないそうです。

アジア人で最初に米国軍人になったのは中国人とか。

まあ、ユジンという人物の設定、それを中心としたいろんな設定とストーリーの組み立てそのものがお見事、というしかないドラマです。

 

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【作品メモ】

  • 韓国放送:2018年7月~ tvN土日ドラマ
  • Netflixで世界同時配信
  • 演出:イ・ウンボク 脚本:キム・ウンスク
  • 24話