yoonaのココがみどころ!
■イ・ミンホ主演、学園もの、財閥御曹司、とくれば「花男」を彷彿とする。
■貧乏は大変だが、お金持ちの子に生まれるのも、いろいろ大変。
■学校の中に歴然と身分階級があるっていうのもなんだか変だけど、そうしないと大人社会を凝縮した子ども社会を作れない。
■相変わらず本筋ではないカップルが気になる(ユン室長とイ社長)
見始めて、10話すぎてから、どうしてこれが大学生でなく高校生の話なのかに気づきました(遅い)。
大学生だともっといろんなこと(酒、金、女)ができすぎて、話に制約ができないんですね。
高校生だから、金銭的にも精神的にも親の庇護というか監視下にあって、
それゆえにできないこと、許されないこと、まだろっこしいことがいろいろある。
制服着て毎日学校へ行かないといけないし。
俳優が大人だから、気づくのが遅れました(^_^;)
それにしても、「花男」と展開が似てます。
お坊ちゃん二人との三角関係とか、高校生なのに婚約者がいたりとか、シチュエーションを借りて別の話にしようとしたのかもしれませんが、抜け切れていないところもあります。
ま、「花男」の原作漫画の設定が素晴らしすぎるということかと。
ヒットメーカー、キム・ウンスク作家の作品です。
このドラマでは主役が‟子ども”だと気づいたら、妙にセリフが決まりすぎてる感じがしてきました。
計算しつくされたセリフの応酬はこの作家らしいところなんですが、
キム・タン(イ・ミンホ)とウンサン(パク・シネ)のかけひきも、なんか大人びてます。ふたりが20代とかの設定ならそうでもないと思いますが。
頭の中とは違う言葉が出ちゃうくらいが初々しいと思うんですけど、計算されてます。
そこ、ちょっと若々しさがないかなと思うところでした。
それと学校内で殴り合いしても、一人の教師も飛んできません!
制服も着ても着なくてもそれはどうでもいいのかばらばらだし、そのあたりがどことなく大学っぽい感じがします。
キム・ウンスク作家の描くドラマでは、設定をリアルにするより、セリフに合わせた設定にするということが多いと思います。
ま、それで現実ばなれしたロマンスが描けるのかもしれません。
韓ドラロマンス「同居の法則」にのっとり、
口のきけないウンサンの母(キム・ミギョン)がタンの家の使用人になり、二人は同じ屋根の下に暮らすことになります。
家にはタンの両親である帝国グループの会長(チョン・ドンファン)とその愛人(キム・ソンリョン)が暮らし、
タンが通う帝国学園の理事長は、会長の2番目の妻(パク・ジュグム)。家は愛人に乗っ取られ、その子どもの戸籍上の母親にならなければならなかった。タンは表向きには理事長の息子であり、愛人の子であることは伏せられています。
タンの異母兄ウォン(チェ・ジニョク)は、会長の最初の妻の子。タンとは疎遠。
これだけ複雑な家庭だと、のびのびと明るい子が育つはずもなく、
タンは金銭的には不自由のない生活ですが、精神的にはさまざまな制約の中で暮らしています。
学園には、タンと同じような境遇、いろいろな家、事業の相続者である子息が集まっています。
無邪気な会話をかわす同級生でありながら、将来的にはどのような敵対関係になるかもわからないという、まったく気の休まらなそうな学校生活です。
タンはアパレルグループのイ社長の娘、ラヘル(キム・ジウォン)と婚約していますが、それももちろん親が決めたことであり、タンが望んだことではないということがラヘルには不満そう。
でもそういう家の子は、釣り合わない相手を望むといろいろ大変なんですよね。
だけど、家が決めた結婚の後で、結局は愛人を家に入れる父を見ているタンにとっても、何が正解なのかはわからないはず。
ラヘルの母であり、RSインターナショナルのイ代表(ユン・ソナ)とヨンド(キム・ウビン)の父である韓国最大のホテルチェーンの代表(チェ・ジンホ)は再婚していて、
つまり、ラヘルとヨンドは同級生でありながら兄妹でもある。
親同士が結婚したものまったくの事業がらみの損得計算上のことであり、
いずれラヘルとタンが結婚すれば、ますます関係が複雑になるのは見えています。
友達であっても、一生友達という気楽な関係ではいられないかもって、なんか嫌な感じだと思います。
もう一つカップルがありますね。
秀才のチャニョン(カン・ミンヒョク)とボナ(クリスタル)のカップル。
チャニョンの父は帝国グループで働いており、ほかの財閥の息子たちとは立場の違いを実感しています。
ボナも大手芸能グループの娘ですが、このカップルが一番落ち着いているというか、高校生らしいカップル。ボナはタンの元カノなんですよね。でもなにかとウンサンのことを助けてくれたりします。
親子関係としてもチャニョンと父親の関係が一番安定しています。息子に対する期待とかもごく普通だと思うんですが、ほかが普通じゃないので、ここの親子関係の普通さにほっとしますね。
チャニョンは帝国学園に入る前からのウンサンの友人でもあります。
ウンサンもタンのような面倒くさい相手ではなく、チャニョンにしておけばいいのにと思うところはいっぱいありました。
ストーリーが後半にはいると悪ぶっていたヨンドがずいぶん改心してきます。
というかいろんなことにもまれて大人びてくる。
ウンサンをタンと争っていたのも、タンへの対抗心だったのかなと思うところもありましたし。
自分との仲を裂こうとする自分の親に、ウンサンが苦しめられているとわかったタンが、ヨンドに、ウンサンをやるっていって殴られるところは、「男の友情」を感じさせる。
「花男」のク・ジュンピョとユン・ジフの対立を思い出します。
「花男」との決定的な違いは、ヒロインの性格だと思います。
「花男」のジャンディは、とにかく明るくてくじけない女の子でしたが(日本の少女マンガだから)、
こちらのウンサンは、貧乏という現実を受け止めて自分から壁を作っちゃうタイプ。
同じ貧乏で相手が財閥でも「コーヒープリンス」のウンチャンのほうが明るかったですね。
友人にこのドラマが面白いよって言って、だいたいのストーリーを話していたら、
「どうしていつも貧乏女と金持ち男なの? 逆はないの?」と聞かれました。
う~ん。あるかもしれないけど、あんまりぱっとしない感じが。。。
「プラハの恋人」とかがそうでしたか?
男が自分のレベルをあげるというより、女が男に合わせる話(シンデレラストーリー)のほうが、ドラマの主要視聴者層である女性にウケがいいからでしょうか。
最後は、キム・タンが“帝国”の王冠をかぶって終わるのかと思いましたら、
彼はまだこれから高校3年生。
彼の前途もウンサンとの未来も、まだまだこれからです。
高校が終わったら外国へやられるのかもしれない。
その時またウンサンをどうするか、ごたごたあるのかもしれないし、兵役に行くときにまたどうなるのか。。。
全体的には「すごく上手にまとめたな」というドラマでした。
意地悪だった人たちもそれなりに落ち着くところに落ち着いて、むやみな復讐もしないし、タンとウンサンもなんとなく手に手をとっていましたし。
悪く言うと、あんまり「きゅん」としなかったかもと思います。
一番「きゅん」としたのは、チャニョンのパパとラヘルのママですよ。
あの二人、どうにかならなかったんですかね。
ユン室長が帝国グループの副社長になったから、今後の展開はあるのかなと思いますが、含みを多く残しました。
兄のウォンの話までもうまくまとまるとほんと嘘くさいので、ウォンには涙をのんでもらった感じです。
壁を乗り越えようとしたタンと、壁の内側で生きることにしたウォンの違いなのかもしれません。
ウォンはタンを心のそこから疎んでいたわけではなく、きっかけがなかっただけだと思いますが、ウンサンとのことを色々助けてくれたりしますし、最後は手をとってグループを守ろうとします。
なので、「家」を引き受けたウォンに対して、最後の「(ヒョンは)生まれた家に島流しになった」というナレーションは、なんか物悲しい。
なんの犠牲もなく王冠をかぶることができるものはいないということなんでしょうけれど、だとすると、タンにもいつか何かをあきらめないといけない日が来るのかもしれません。
最初、キム・ウビンがいいところの坊ちゃんに見えなくて、
友人からは「見ているうちにいい子になってくるよ」と言われていたんですけど、
まあ、最初が悪い子すぎたから、振れ幅が大きかったです。
でもどっちの演技もできたってことが、この後の彼がどんどんキャスティングされる原因になったかもしれません。
ウンサンは年齢よりも大人びています。母の障害によって、いろいろなことを自分でやらなければいけないし、経済的な苦しさがそうさせたのかもしれませんが、最後に「いい家の子たちには、想像もできない苦しみがある」っていうことを知ります。
お金に困らないっていうことも大変なんだ、というメッセージでしょうか。
そういえば、このドラマ、メッセージが多すぎます。
それがなんか最後に締まらなかった理由かなあとも思います。
身分違いの恋愛、親子関係、財閥同士の争い、友達同士の関係、兄弟の関係、夫婦の関係、本妻と愛人の関係、主従の関係・・・。
どれも濃すぎて、返って本筋が薄まったように思います。
一番肝心なタンとウンサンの話が、他の話にちょっと埋もれましたよね。
どの子も高校生でまだ子どもなので、それぞれの親子関係もドラマにはいろんな面でかかわってきて、どこも違っていて面白かったです。
きちんと両親そろった家の子は、何人もいませんね。
一番円満そうなユン室長も奥さんがいない(死別)。
たぶんイ社長が好きすぎて、再婚することもなかったのかもしれません。
タンの相手としてウンサンを認められない会長の策略で、ウンサン親子が地球の反対側へやられそうになったところ。
どうやってその策略をくぐりぬけたのかとか、タンとヨンドがウンサンを発見するまでの経緯とかがあっさりしすぎていて、ちょっと拍子ヌケでした。
ヒョシン先輩(カン・ハヌル)が、親の目をかいくぐって入隊しちゃうところは、韓国ならではの展開でしたが、もともとは彼の親子関係のほうがタンより大変そうでした。
お金のあるうちも大変だけど、代々頭の良い家系も子どもは大変なんですね。
「検察総長が息子に裏口入学をさせるのか」っていうのは笑えました!
弁護士の息子であるミョンス(パク・ヒョンシク)は、裁判ネタになりそうな写真ばっかりを撮ってるとか、親の職業がこうだから、こういう設定は笑えるだろうというのがいろいろありました。
ミョンスもまたいずれ弁護士になるのでしょうけれど、そうして決められた将来の前に、今を楽しんでいる感じでした。
彼の部屋が仲間のアジトになっているのも面白い。
でも別の面から考えると、友人たちは将来の有力なクライアントですよね。
最後まで見たので、それなりに楽しみましたけど。
イ・ミンホはやっぱりかっこいい。
旬な俳優であることは間違いないです。
兄役のチェ・ジニョクとは1歳くらいしか違わないと思いますが、最後まで「弟」に見えました。
(っていうかチェ・ジニョクって兄顔?)
【作品メモ】
- 韓国放送:2013年10月~ SBS
- 演出:カン・シニョ、脚本:キム・ウンスク
- 20話
- 韓国版のタイトルは「王冠を被ろうとする者、その重さに耐えよー相続者たちー」