韓ドラとソウルホテルと。

韓国ドラマのレビューブログ(基本的にネタバレ)。ときどき昔話。

愛の迷宮 ~トンネル~

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■チェ・ジニョク、兵役から復帰後最初の作品なので注目してました。兵役中にケガして途中除隊だったので心配してた~。

■1986年と2016年。時空を超えて連続殺人事件の解決に挑む 。たくさんの伏線が、韓ドラにしては珍しく収拾されてる。

■OCNの作品としては、描写が抑えめ。グロい映像が嫌いな私でも何とか見られました。

 

以下、盛大にネタバレ。

 

ためていた録画分を一気に見ました。

韓国のタイトルは「トンネル」ですが、日本では「愛の迷宮」とかいう昼ドラっぽいタイトルがついちゃって、どうして「トンネル」じゃダメだったのか。

 

「トンネル」で犯人ともみ合っているときに、タイムスリップして、

1986年から2016年にやってきてしまった刑事のパク・グァンホ(チェ・ジニョク)。

職場であった警察署にやってくると、どういうわけか同姓同名の刑事パク・グァンホ(エン)が赴任してくることになっていたが行方不明になっており、

戻る方法が見つかるまで、そのポジションにおさまることに。

警察だっていうのに、脇が甘いというか、赴任してくる人の写真もないのか。

 

配属先の強力班(日本でいう捜査一課)のチーム長は、30年前の世界でグァンホの部下だったチョン・ソンシク(チョ・ヒボン)。

かれがグァンホに気づき、過去からやってきたということを信じてくれたおかげで、刑事として居座ることになりました。

 

携帯電話もなかった30年前とは違って、

パソコンだとかスマホだとか、グァンホには物珍しいことばかり。

犯罪の証拠もDNAだの司法解剖だの知らないことばかり。

こう見ると、30年前がいかにいい加減な世界だったかがわかりますね~。

科学的にいい加減な世界では、グァンホのような鼻の利く刑事が事件の解決に役立っていたわけです。

 

30年前も連続殺人事件を追っていたグァンホ。

私生活では結婚したばかりの妻がいました。

その妻がいるはずの家はすでになく、妻の行方も分からなくなっています。

ソンシクによるとグァンホは突然行方不明になり、妻のヨンスク(イ・シア)の行方も分からない。

ま、わからないほうが、物語が面白くなります。

 

現代での相棒はエリート刑事のキム・ソンジェ(ユン・ヒョンミン)。

ソリの合わない二人だが、刑事ものの相棒って大体こういう組み合わせです。

スーツの似合う頭脳派と、皮ジャンの武闘派。

二人は事件を解決しながら、お互いへの信頼を深めます。

 

ユン・ヒョンミンさんの出るドラマはたぶん初めて見ますが、

パッと見たとき、パク・へジンさんかと思いました。似てます?

 

プロファイラーとして強力班に協力する犯罪心理学者のシン・ジェイ(イ・ユヨン)の存在もグァンホにとっては目障り。

 

イ・ユヨンさんって、ちょっとチェ・ジウさんっぽい感じですね。

見たことあるかなと思っていたら、事故で亡くなったキム・ジュヒョクさんの恋人だった人だと。お葬式の記事で見たかもと思ったけど、顔が変わっていて(^^;

 

そこへ、若い女性の殺人事件が勃発。

足首に残された入れ墨から、グァンホは30年前に自分が追っていた犯人の仕業だと勘づきます。

30年前の事件は犯人がわからず迷宮入りになっていて、記録も覚えている人もない。

犯人も死んだのではないかと思われていました。

どうして30年もたってまた同じような事件が起き始めたのか。

それこそが、自分が時代を超えてきた意味ではないかと、グァンホは思います。

 

ドラマの舞台は「ファヤン」というところですが、

韓国の地理に疎いので、これがどの辺の土地なのかが良くわかりません。

「華陽里(ファヤンリ)」という地名は釜山の近くにあるようですが、どうなんでしょう。

ファヤン警察、ファヤン大学、ファヤン病院、全部ファヤンです。

 

16話の中でもなんどかヤマ場があって、

でも次々と新しい事件が起こったりして、どうしても次が見たくなる展開です。

30年前にグァンホが犯人ではないかとめぼしをつけていた男が再び現れ、

これがいかにも犯人っぽいですし、実際犯罪者ではあるんですけれど、

グァンホの事件を追う勘と、ソンジェの理性的な判断と、ジェイのプロファイリングによって追い詰めていきます。

この辺りは21世紀の犯罪ものですね~。

 

OCNのドラマは「ボイス」とか「神のクイズ」とか、評判の良かったミステリーが多いのですが、

私はとにかく血みどろとかえぐいのが大嫌いで、

ドンヘのドラマもイェソンのドラマも見たいのはやまやまなんですが、見ることができず。

「トンネル」はその中でも描写がまあまあ穏やかだそうで、どうにか見ることができました。

それでも死体は何度も出てきちゃいますけど~。

 

よくできていて、序盤に張られる伏線が、最後にはきちんとキレイにつながります。

途中で1回、グァンホはまたトンネルでもみ合ううちに過去に帰れるのですが、

現在に5ヵ月いた分、ちゃんといなくなって5か月後の世界に戻ります。

そんなことして、つじつまが合わなくならないのかな~と思うんですが、

検証しようがないので、韓ドラ的にはスルー。

他にもタイムスリップものは多いですが、歴史を変えちゃいけないっていうのはセオリーですけど、

個人的なことなので、大勢に影響がないのかなとか、心配。

 

30年前にもどって、30年後に犯人とわかったやつを見つけて、

またトンネルでもみ合ううちに、現代に戻っちゃうんですけど、

そのあと、犯人に今まではなかった記憶、30年前に刑事ともみあったという記憶が新たに生まれたりして。。。

 

犯罪心理学者のプロファイリングを盛り込むというのは、今どき風です。

その先生、シン・ジェイが一風変わった人で、とっつきにくいというか、

面白味のないタイプ。

グァンホは既婚者であるとはいえ、この先生といろいろ衝突していたので、

そのうちロマンスの芽でも?と思っていたら、

どうもソンジェといい感じになっていきます。

ソンジェは30年前の事件の被害者の子供だったんですね。

グァンホは赤ん坊だったソンジェに会っています。

グァンホの正体が怪しいと思っていたソンジェがついに、グァンホが過去から来たということを認め、一緒になって事件を解決しようとするあたりから、

事件も動き始めます。

 

最近、世の中では理由のわからない殺人事件が起こったりしますが、

ドラマの上ではやはり「理由」がないとだめです。

犯人が犯罪に手を染めることになった「理由」が必ずあって、

それを解きほぐしていく過程がミステリーを見る楽しみではあります。

で、だいたい、一つの糸がほぐれると、次の謎も生まれ、

展開が早くなると、ほころびも生まれます。

 

このドラマの登場人物はみんな「親」との複雑な関係を抱えていました。

韓国ドラマは、必ずと言っていいほど、親との関係性が物語のカギになることが多いのですが、

このドラマでは特に「母親」です。

韓国人へのオンマの影響力、おそるべし。

それだけ子どもにとっては、母親はよりどころなんでしょうけど、

それプラス、本人が持っている気質。

サイコパスとかソシオパスといわれるもの。

 

サイコパスとかになると、なんかもうそれ以上理解が進まなくなるんですけど、

ま、不気味ではあります。

常人の考えをはるかに超えているので。

その背景にも、子どもの頃にそういうしうちを受けたのなら、多少ぐれてもしょうがないわね、と思えるところもあるけど、

死んだ人は浮かばれないので、犯人が捕まって事件は解決してもなんか救いが残らないことが、ミステリーが好きじゃない理由かも。

 

このドラマは事件の解決よりも、グァンホがもとの世界に戻れるかどうかが、

最後のおとしどころだったので、

必ず戻れるだろうとは思っていたから、その点ではよかったかな。

でも、30年後で初めて出会った人に、

30年前の世界に戻ってさっそく会ってしまうのはどうなんだろう~。

 

タイムスリップについて考えるとき、いつも考えてしまうのだが、

ちょっと出会いのタイミングが変わることで、未来は違ってくるはずなんだけど、

それって今このタイミングにはいくつもの選択肢があって、

それによって未来は変えられるのかもしれないということ。

 

グァンホが30年後に行ったとき、警察署に赴任してくるはずだった刑事がグァンホと同じ名前だったことの種明かしあります。

この役、VIXXのエン君だったので、そんなにちょい役じゃないよね、と思っていましたけど、確かに事件のカギも握っていました。

もしかしてグァンホの子どもなのかな~とも思ったけど。

 

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【作品メモ】

・韓国放送:2017年3月~ OCN

・演出:シン・ヨンフィ/ナム・ギフン 脚本:イ・ウンミ

・16話