yoonaのココがおすすめ!
■何も考えずにぼ~っとドラマを見たい人におすすめ。
■「エアシティ」での空港警備員役の時から注目してたチュ・サンウク初のコメディ出演。いつのまにか‟室長専門俳優”と呼ばれていた。
■INFINITEのエル君が出るので見ました。でも彼はチョイ役。
タイトルがね~、まず何も期待させませんよね。
「ずる賢い」&「バツイチ」だから。
もう見る前から、主役の二人がかつて夫婦で、それがヨリを戻すまでの話だと分かっちゃいます。
そして序盤では、妻だったナ・エラ(イ・ミンジョン)のほうが、「ずる賢い」ということを強調していますが、
彼女のホワンとした美貌のせいか、なんかそれほど恨みがあるようには見えません。
エラと別れた夫、チャ・ジョンウ(チュ・サンウク)は、
離婚した3年後に再会します。
公務員を目指して受験勉強をしていたソウル大学生のジョンウと、
公務員試験の受験生相手の食堂の娘だったエラ。
生活が安定しているという理由で公務員と結婚したかったエラは、試験に受かったジョンウと結婚します。
が、工学部出身で、ゲーム開発の才能があったジョンウは、公務員をやめてゲーム開発事業に乗り出します。
当然、生活は困窮し、専業主婦になるはずだったエラは働きに出ますが、
ジョンウの事業はうまく行かず、それに業を煮やしたエラは離婚を言い渡します。
3年後、大学を出ていないエラは、その後も結婚していた間の借金を返しながら、
友人のミニョンと同居していました。
一方、ジョンウは出資者を得て事業が成功し、DONT & TALKというIT会社の社長になっていました。
居酒屋で喧嘩にまきこまれたエラの身元引受人として警察に迎えに来たのはジョンウ。
自分の夢だけを追っていたジョンウをエラは許せず、
自分を捨てたエラをジョンウもまたエラを恨んでいました。
自分だけが今でも苦労していることが我慢ならず、「しかえししてやりたい」とエラは思いますが、
いざ面と向かうと、ジョンウに「悪かった」と謝ってほしいだけなのに、とか殊勝なことを言うんですよね。
ジョンウは謝る気などさらさらない様子。
いつまでも自分をこんな目にあわせた恨みを忘れない、自分の境遇は相手のせい、とにかく謝れ、というところは、あちらのお国柄なんですかね~。
とにかくいろんなことが、そういうパワーに突き動かされている感じがします。
エラもなにがしたいんだかよくわからないのですが、とにかくジョンウに何かしたくてたまらない。
普通ではありえないと思いますが、ジョンウの会社の面接に行き、見習いとして入社します。
二人が常に顔を合わせる場を作って、まわりの人も巻き込まないとドラマにはならないわけですけれど、こういう成り行きはちょっと強引かなと思いました。
コメディなわけですけれど、その笑わせる部分もけっこうわざとらしい。
別れた元伴侶に「復讐しよう」という話は、ともすれば、陰鬱な展開になりがちなんですが、エラもジョンウも離婚した相手を本気で恨んではいないというか、
どっちかというと、未練がある様子がお互いの気持ちがなかなかかみ合わない場面を多く作りだすのかもしれません。
その二人をマジな恋愛対象として絡んでくるのがクク姉弟。
父親がジョンウの出資者であり、事業のパートナーでもあることから、ジョンウも姉のヨジン(キム・ギュリ)には一目置いているし、
弟のスンヒョン(ソ・ガンジュン)は身分を隠してエラと一緒に見習いとして働き始めるのですが、実はジョンウとは兄弟のような関係。
ヨジンがジョンウに想いを寄せ、スンヒョンがエラを好きになることから、
四角関係とジョンウの事業の行方というのがドラマの主軸になっていきます。
エラには能天気な父親と兄という問題もありますけれど、まあ家族としてはあったかい感じ。元婿のことも心配していて食べ物を差し入れたりしています。
一方、ヨジンは父(クク会長)の専制によって最初の結婚を壊されます。父親が反対していた結婚式当日に事故が起き、相手は死亡、自分は片足を失う大けがをしました。
会長は妻の自由も許さず、妻は家族を置いて出ていきました。
失意のヨジンが再び心を寄せたのがジョンウであるため、クク会長もジョンウをヨジンの婿にしようとします。
エラとジョンウは再会によって反発しながらも、まだお互いに想いを残していることに気づいていくのですが、
なにせ会社では社長と見習い。
お互いの過去を隠しているため、いろんな場面でごたごたします。
ドラマのためとはいえ、社員の研修に社長が乗り込んで、
「だるまさんがころんだ」をやるに至っては、
この辺で見るのをやめようかなと思ったんですけど、
そこが韓ドラの力というか、二人がヨリを戻すのはわかりきっているとしても、
その経緯がどうなるのかはやっぱり気になってしまいまして。
理性で対応していたヨジンが、ジョンウの気持ちがエラにあるとわかって、
父親の資金力を振りかざすようになったり、
スンヒョンが年下男の怖いもの知らずというかエラにぐいぐい迫って来たり。
でもジョンウとエラの気持ちは、クク姉弟には全然向いてないんですよね。
なので、二人とも最初は自分の魅力で迫っていたのに、
だんだん親の資金とかコネとかをかざすようになり、
そうなるとだんだん、エラとジョンウの結びつきが強まるというか。
エラは結婚していた時の生活費を借金していて、それを離婚後も返済していただけでなく、実は妊娠していたけれど過労で流産したこともジョンウに隠していたんですね。
ただでさえエラのことが気になって仕方がないジョンウですけれど、
それがわかるともうどうしてもやり直したいと思うようになって。
結局ヨジンは、たぶん会社の資金をタテにすればジョンウは折れると思ったんだろうけれど、ジョンウを会社から追い出すことになり、
その前に、ジョンウの前妻であることがばれたエラも会社を辞めていて、スンヒョンのコネのあったホテルへの再就職も断ります。
ジョンウは自分でまたゲーム開発の仕事を始めて、
エラも強引にそれを手伝い始めます。ジョンウを慕っていた社員も手伝いに来たりして。
ジョンウのいなくなった会社はゲームの開発に支障が出て、
結局ジョンウを呼び戻すことに。
このドラマは、一度離婚した二人がヨリを戻すということが大筋で、
それに仕事だの恋愛だの、人間関係だのを丁寧に絡ませていったのだと思います。
一つひとつが大げさで、けっこうばかばかしいんですが、韓国の俳優の上手さというか、それぞれのキャラが結構濃くて、次々にいろんな障害を作る。
キャラに合わせた外見もそうだし、セリフとかしぐさとかをそれぞれの俳優が突き詰めていて、クセのある脇役がいっぱいです。
この人はこういう人、という決められたキャラがありながら、その裏にかくされた過去とか心の傷とかによって、別な一面を持っていたりして、
それがいちいち絡んできます。
ジョンウの父親が亡くなって、エラが単にジョンウが安定した公務員だから結婚した、お金がなくなったから別れた、社長になったからまた現れたという「ずる賢さ」だけではなくて、嫁としてもいい嫁だったことをジョンウが思い出したり、
お金にだらしなくて、ジョンウからエラへの慰謝料を使い込んでしまったエラの兄がどうにも憎めないやつで、エラの親友のミニョンとくっついたり、
どたばたの中にもなんかほろっとするものもある。
「ずる賢い」というのはたぶんエラを指すのだと思いますが、
最初からエラにはそういう気質はあんまりなくて、ただ単に普通に幸せになりたかった平凡な女だったというだけなのだと思います。
でも、社長になった元夫の前に現れたら「ずる賢い」と思われてしまうんでしょうね。
仕事が面白くなって、もう男に頼らなくてもやっていけそうと思ったエラに、
再び、幼稚なアタックをするようになるジョンウのほうがよほど悪気のないずる賢さがあると思います。
まあ、彼は仕事以外はダメ人間という設定になっていますから、
もし本当にずる賢ければ、とっくにヨジンと結婚していたかもしれませんが。
彼のいいところは、ヨジンのお金にすり寄ったり、足のことを知っても同情しなかったことでしょうね。
ソ・ガンジュンという若手俳優を始めてみましたが、
最近はこういう、どっかで見たな、という顔が増えてきました。
彼も演技をしていると、ジョン・ヨンファのようにも見えるし、パク・ボゴムのようにも見える。
そういえばヒロインのイ・ミンジョンさんも、いろんな顔に見えるし、チュ・サンウクさんもすごく強いイメージのある人ではないです。
そういう意味では、このドラマは俳優の強烈なイメージで引っ張られたというよりは、
たくさんの(わりとくだらない)エピソードを飽きる前にどんどん出していくことで、最後まで見せ切った、という感じがします。
一つ気になりながらずっと見ていたことがあるんですが、
ジョンウの秘書のキル・ヨンハ(INFINITEのエル)、彼は秘書なのに妙に社長になれなれしく、でもずっと影のようにくっついているわけでもなく、時々登場しては、ジョンウをいじる、という変わった役でした。
クク会長にもオ常務というお付きがいますが、こちらはいわゆる韓ドラの会長役には必ずいるような、汚れ仕事を引き受ける役。
キル秘書はその関係とはずいぶん違います。
ジョンウとキル秘書の関係は、最後になって明かされます。ジョンウが不遇の時代に助けてくれたのがキル・ヨンハなんですね。
同じようにクク会長とオ常務の過去のいきさつもわかります。「つらかった時に助けた」「その後右腕になった」という意味では2つの関係は同じなんですが、
クク会長とオ常務が厳しい主従関係なのに対し、ジョンウとキル秘書には明確な上下関係はなくて、
それは「時代のちがい」を表そうとしたのか、今はお金が人を結ぶ時代じゃなくて、信頼だということなのか。
それはちょっと深読みしすぎですかね。
【作品メモ】
韓国放送:2014年2月~ MBC
演出:コ・ドンソン 脚本:イ・ハナ
16話