韓ドラとソウルホテルと。

韓国ドラマのレビューブログ(基本的にネタバレ)。ときどき昔話。

よくおごってくれる綺麗なお姉さん

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■タイトルからもわかるとおり、綺麗なお姉さん(ソン・イェジン)とかわいい年下の男の子(チョン・ヘイン)のお話

■何にかわからないけれどいろいろ期待しすぎて見るとがっかりする。

OSTが韓国ドラマにしては珍しく英語曲。

 

 ソン・イェジンの久しぶりのドラマということで話題になったこのドラマ。

相手役が年下のかわいい系、チョン・ヘインだということも話題でした。

チョン・ヘインって、「三銃士」の真面目な銃士ですよね。

実年齢では6歳違いの二人だけど、ドラマ上ではユン・ジナ(ソン・イェジン)は35歳くらいとのこと、ソ・ジュニ(チョン・ヘイン)は30歳前くらいだろうか。ジナの弟でジュニの友人であるスンホ(ウィ・ハジュン)が大学院の博士課程なので、多分それくらいかと。

 

恋愛ドラマには、当の二人の間にいろんな障壁があって、ドラマの展開によってその障壁をなくすか壊すか、あるいはお互いに譲歩するかどれかだと思うんだけど、

ジナとジュニの間の障壁というのが、見ているこっちにとっては「年下」というどうでもいいようなものにしか思えなくて、一体何が問題なんだというところから始まる。

 

二人は独身だし、ちゃんと仕事もしているし、大人だし、しかも姉同士、弟同士が友人というよく知る関係だし。

 

物語は、コーヒーショップのフランチャイズチェーンの本社に勤めるジナと、アメリカから3年ぶりに帰ってきたジュニが再会するところから始まる。

ジュニの仕事はゲーム制作。

余談だが、ココ何本か、男主人公の職業はゲーム会社というのが続いている。

「ずる賢いバツイチの恋」もそうだし、「力の強い女、ト・ボンスン」もそうだった。

はやりの職業ということだろう。

本格的にドリップするコーヒーショップも韓国ではどんどん増えているようで、二人の職業は、そういう意味では先端というか、おしゃれな職業ということが言えるかも。

 

ジュニは渡米前からジナに気があったようだが、ジナには弁護士で親のお気に入りの恋人、ギュミン(オ・リュン)がいた。

この恋人が、女遊びはするし、ストーカーっぽいところもあって、ジナはなんとか彼と別れようとするけれど、うまくいかない。

何をどう言っても、ギュミンは何度も現れ、ジナと別れまいと脅迫めいたことをする。しまいには車を走らせ、心中しようとさえする。

この変な恋人と長く付き合っていたこと事態、ジナという女性に疑問符がつくんだけど。

韓国では、付き合った女性に携帯電話をプレゼントすることがはやってた?らしいが、ジナもギュミン名義の携帯を使っていて、それを解約するためには、ジナだけではできず、一緒に行かないとだめっていうことが仇になった。

 

この頃には、ジュニともいい感じになっていて、ギュミンの行動にジュニが怒ることもしばしば。ジナの煮え切らない態度にも問題がある。

 

この、ジナの煮え切らない態度は、この後もたびたび問題になる。

つまり彼女は、ことを荒立てることを嫌うタイプ。なんとかやりすごして、元のサヤに収めるというよりは、なかったことにしたいタイプなのではと思う。

会社での女性社員同士のゴタゴタもセクハラ問題も。

家族との衝突も。

そこに、周囲がいらだつ。

なぜかジュニはいらだつ前に、「かわいい」と思ってしまったようだ。

 

ジュニの会社とジナの会社は同じビルにあって、

これは韓ドラでよくある、「一つ屋根の下にどういうわけか住むことになった」というパターンと同じだ。

二人はビルのいろんなところで、仕事時間中にもかかわらず会うことができる。

 

早くに両親がいなくなったギョンソン(チャン・ソヨン)とジュニ姉弟は、ジナの両親に子ども同然にかわいがってもらっていた。

しかし親たち、とりわけ母親は、親のいない姉弟を見下していて、裏では大学院生の自慢の息子のスンホとジュニが仲良くしすぎることを疎んでいる。

 

ここに、このドラマの表面的に今風な設定を使いながら、実はとても古風な落とし穴があった。

「相手の家柄が気に入らない」というのは、過去の韓ドラにもいくつも登場したお決まりの「障壁」で、かなり使い古された状況だ。

これまでドラマに描かれた身分違いは、財閥と貧乏人とか極端な設定が多かったから、それは周囲の反対を押し切るのも、おそらくは結婚してからも大変よね、と思えるものが多い。

それに比べると、ユン家とソ家の違いは、親がいる、いないだけで、ユン家は財閥の家柄でもないし、父親はリタイヤしているし、家代々の屋敷に住んでいる訳でもなし、ギョンソン、ジュニ姉弟の親がどうしていないか(母親は死別、父親は再婚)もわかっているのに、なぜそこを問題にするのかが、日本人にはわかりづらい。

 

子どもの結婚相手が立派な職業であるか、もしくは立派な(お金持ちの)親がいれば、将来にわたって安定した暮らしができると思うのだろうけれど、なんかあまりに単純で、ばかばかしい。

まして、ギョンソンとジュニは親がいないからと行って、グレているわけでもなく、親がいる子よりも立派に暮らしている。

そこが「韓国」という社会の特殊性なのだと思っても、21世紀のこの時代に、あまりに説得力のない設定に、少々興ざめがする。

 

それで、最後まで、二人はこの理不尽な親を説得するでもなく、親が改心するでもなく終わってしまう。

ジナがジュニと付き合っていることがわかると、予想通りヒステリーを起こす母親に、家族たちは辟易しながらも付き合っていく。

いや、この母親のもとで、よく、ジナ、スンホ姉弟が母親と同じような価値観にならなかったなと思うくらいだ。

父親は、ジュニの人柄を買っているようで、ちょっとだけものわかりの良い様子を見せるが、結局は母親ともなんとか折り合おうとする。

ジナがことなかれ主義なのは、父親似ですね。

 

ギョンソンとジュニの父親が帰国して、ジナの家で酔っ払う事件が起きて、

ジナの母親が、ギョンソン、ジュニ姉弟を見下しているということがあからさまにわかると(姉弟はうすうす感じていたようだけど、面と向かって言われて気分のいいものではない)、

ギョンソンとジナの友情にも亀裂がはいる。

 

同じころ、ジナの会社では、セクハラ問題を公にして、加害者を処罰しようという動きが出ていて、セクハラの対象となっていたジナが告発をすることに。

自分と恋人の問題、家族の問題を収められないジナに、この問題を収められないだろうと思って見ていたが、ジナは果敢に立ち向かおうとする。

それはジュニという自分を大切に思ってくれる存在によって、自分が軽く扱われていたことに対して怒りを向けるという、ジナにとっては挑戦にも近いモノだったけれど、

結論としては、会社の名誉のため、ジナは左遷させられて収められてしまう。

 

私は、ジナが親の問題と会社の問題、どちらか一つ、できれば両方を解決してほしかったなと思うけれど、両方ともうやむやになったところに、このドラマが今ひとつだったところがあると思う。

それなのに最後はジュニが戻ってくるんですよ~。

 

母親から家を出て行けといわれて、一緒に住もうというジュニの出張中に、勝手に引っ越しをするジナ。

仕事でアメリカに行く、一緒に来てほしいというジュニの申し出を断り、物流センターに左遷させられて2年後、スンホの結婚式にやってきたジュニが見たのは、別の男といるジナ。

ジュニの家(今はジュニの同僚の家)にやって来て、自分がどんな思いでいたかをぶちまけるジナを見ていて、ああ、これはジュニ、この女とは別れた方がいいよ~と思って見ていました。

2年経っても、ジナは少しも成長していないし、ジュニほどの男を手放したことが糧になっていない。

 

そしてまたジナは、ジュニに内緒で、引っ越しをして行方をくらます。

済州島で自適な生活を送るかつての同僚クム・ボラ(チュ・ミンギョン)の元へ行った理由はわからないが、このドラマでのジナの行動は、いつも理由がわからなかった。

結局、いつも二人を影ながらまもってくれたクム・ボラが、またジュニにジナの居場所を教えたのだと思うけれど、

この二人はまた、親に反対され、お互いにいらだち、衝突しながらやっていくんだろうなあと思う。

なんだ~、結局そうなるのか~というドラマでした。

 

ジュニがジナに挙げる赤い傘、ジナがジュニにあげる緑の傘、

最後は二人が黄色い傘をさしているシーンです。

なんか象徴的なモノを使いたかったのかな~と思います。

考えてみれば、「綺麗なお姉さんとかわいい年下の男の子」という設定でおしゃれにドラマを作ろうと思って、

設定とか職業とか、「障壁」とかをちょっと付け加えていったかな~という感じがします。

 

OSTが珍しく英語の曲、それも古い曲でした。

「ラストダンスは私に」は、ダンスパーティで「あなた、どうぞ自由に踊ってきていいのよ。でもラストダンスだけは、私に残しておいて」という素敵な歌詞で、

ジナがこれくらい大きな愛でジュニを見ていたらよかったのに、と思ったのでした。

 

 

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【作品メモ】

韓国放送:2018年3月~ JTBC

演出:アン・パンソク 脚本:キム・ウン

16話