yoonaのココがおすすめ!
■チ・チャンウク!
■王道のラブコメテイストが強いながら、そこに連続殺人事件をブレンド。司法界という職業ものもミックス。
■背景には「検察の不正」に対する世の中の批判あり?
チ・チャンウクのドラマは見たことがなかっただけど、
それはストーリーにいまいち食指が動かなかったためで、
彼の作品は見たいな~とずっと思っていました。
「あやしいパートナー」はラブコメだということで、楽しみにしていまして。
良い意味で期待を裏切らなかったというか、最後まで一気に面白く見ました。
チ・チャンウクがコメディに似合っていてよかった。
非常に狭い範囲で人間関係が複雑に入り組んでいて、
現実的ではないかな~と思うところもありるけど、そこはそれとして。
最後まで見て、まず、「あやしいパートナー」というタイトルはもうちょっとどうにかならなかったのかと。
英語のタイトルは「Destiny Lovers」なので、主役二人の昔の「縁」を思えば確かにそうだけど、「あやしい」というのはちょっと違うかなと。
もうちょっとしゃれたタイトルにならなかったのかと、それが残念でならない。
敏腕検事のノ・ジウク(チ・チャンウク)は地下鉄で、司法研修生のウン・ボンヒ(ナム・ジヒョン)に痴漢に間違われ、これがラブコメらしい「最悪の出会い」となる。
その後、ボンヒはホテルのロビーで、恋人のヒジュン(2PMのチャンソン)が浮気しているのを目撃、最初にぶつかった男と寝てやる!と啖呵を切ったところを通りがかったジウクが機転を利かせて助ける。これが再会。できすぎ。
ジウクにも恋人のユジョン(クォン・ナラ)に浮気されて別れた、という過去があり、ボンヒに同情したらしい。なるほど。
さらにその後、検察庁で実習することになったボンヒはジウクのもとで働くことになるというおまけ付き。
ちなみにボンヒの彼ヒジュンも司法研修生なら、浮気相手もボンヒの同期のジヘという世間の狭さ。
ボンヒを尋ねてきたヒジュンがボンヒの部屋で刺殺されるという事件がおこり、別れ話でもめていたボンヒが犯人とされて逮捕。起訴した検事はジウク。
視聴者には、実はボンヒが向かいのビルの屋上の殺人を目撃したと勘違いされ、殺されるところを運悪く尋ねてきたヒジュンが殺された、ということがわかるようになっているけど、ボンヒはアリバイを証明することができず、殺人者として実刑を言い渡されそうになる。ボンヒは強度の近眼で、夜の闇の中でそんなものを見てはいないんですけど。
ここらあたりで、なんだか見たことあるぞ、という既視感がわいてきました。
ラブコメに殺人事件。
「力の強い女 ト・ボンスン」の展開と同じじゃない?
それが韓国のはやりなのかはわかりませんけど、一度当たると同じようなのが次々に出るのはいつものこと。ト・ボンスンのほうがちょっと先の放送だったようだけど、ドラマ制作としても、もはやコメディだけ、ミステリーだけでは20話のドラマは作れないんでしょう。
ジウクは恋人の浮気相手、ウニョクにボンヒの弁護を依頼。なぜ、そんな。
そのうち凶器となった刃物が別の場所から2つ発見され、どちらが本物かは判断できないことから、「証拠不十分」としてジウクは起訴を取り下げます。
この、「証拠」というのがドラマの最後まで伏線になりますね~。
普通は公判になる前に起訴か不起訴になるんですが、起訴しておいて、証拠が不十分というのは検察の顔が潰れる、というわけで、ジウクは検察を追われることになります。
このドラマのもう一つの背景は「検察の隠蔽体質」にあります。
これって、韓国社会でもいろいろ言われていることなんでしょうね。そういうのをチクっとやるの、韓ドラ制作スタッフは好きですね。
そういえば、ボンヒの彼、ヒジュンの父は検事長。この人が息子を殺された恨みをずっとボンヒに持ち続けます。
検察をやめたジウクは弁護士事務所を開くことに。
そこへ、実はジウクの養父であるピョン代表(イ・ドクファ)と弁護士のウニョクが入ってきます。
ボンヒはその後、無事弁護士になりますが、事件のせいでどこへも就職できず、一人で事務所をかまえる。ボンヒが事件を目撃したと思っている真犯人は当然ボンヒを狙いますよね。
事務所をおそわれたボンヒが危険だと察知したジウクは、ボンヒを自分の自宅兼事務所に引き入れることに。
ラブコメでは二人が一つ屋根の下に収まることが大前提だけど、うまく話しができてるわあ。
視聴者には、あやしいのは鑑識の男だと思わせておいて、実は犯人は別にいました。その真犯人チョン・ヒョンスが新たな殺人事件を起こして捕りますが、殺人罪を着せられたボンヒなら自分のことがわかるだろうと、ヒョンスはボンヒに弁護を依頼、ジウクもそれを助けることになります。
このチャン・ヒョンス役のドンハさんは、どっかで見たことがと思ったのですが、
あまりに目つきが悪くて同じ人だとは気づかなかったんですけど、「キム課長」の時のちょっと頭が悪くて気の小さい御曹司ですね。
韓国の俳優さんの振れ幅の大きさにはほんとに驚きます。
この間にも、ジウクとボンヒの間はどんどん接近。
同じ屋根の下にいながら、ちょっとずつ距離を縮めていく二人のやりとりがうまいですね。
ボンヒは自分のせいでジウクが検察をやめることになったという負い目があり、
ジウクは恋人に裏切られた過去から恋に積極的になれないというトラウマがあり、
でも結局は一緒に住んで、同じ仕事をしていたらそうだよね、という感じで。
ところが二人の関係は元検事と犯人というだけでは終わらない。
父と母を火事でなくしたジウク。ボンヒの父親も火事で亡くなっていました。
ジウクはいろいろな事件を弁護していく中で、「証拠」というものがいかにあいまいなものかということを実感し、自身が犯人を見たと証言した両親の死についても疑問を持ちます。
この火事事件は、ボンヒの父親が放火したことになっていて、被疑者死亡のまま書類送検されていたんですね。起訴した検事はヒジュンの父の検事長でした。
あやしい、あやしい。
ボンヒへの濡れ衣、ヒョンスのまわりで起こる連続殺人事件、自分の両親の死の真相、すべてにおいて、本当のこと、真実は何だったのかが証明されていない、真実を知りたいという思いがジウクを動かしていきます。
全部に「検察の体質」がからんでくるわけで、この辺は根深いな~と思いました。
ちょっとサイコなヒョンスが殺人を次々に起こす理由は何なのか。
パン係長が刺されたところは、危ないっ! え~!!そんなっ!!と思いましたが。
チ・チャンウクに対して、ヒロインのナム・ジヒョンさんがちょっと若すぎるのでは?という批判があったようで、確かに実年齢は8歳違うし、ジウクが30ちょいとしても彼女は20代後半の設定でしょう。
大学を出て司法試験を受かって弁護士になっているんですから。
でもそんなことは差し引いても、ナム・ジヒョンさんのヒロインは、かわいくて、たくましくて、凄腕検事のジウクが、思わず離したくないと思うのがわかるほど魅力的でした。
記事を見てたら、ジウク役のチ・チャンウクさんは早めに決まったようですが、ボンヒ役は最初にイ・ソンギョンさんの名前があがって、そのあとハン・ジミンさんへもオファーがあったとありました。
弁護士ではあっても、ちょっとかわいらしい感じをイメージしてたのでしょうね。
ハン・ジミンさんだったら、年齢的にもちょうどよかったかもですが、ナム・ジヒョンさんほどの、「ほおってはおけない」感じは出なかったかもしれません。
チ・チャンウクのコメディ感もよかった。
こっちが照れるほどのセリフもなんなくこなし、壊れるところも適当に壊れて。
スタイルもいいし、ちょっと見惚れました。
検事の時は前髪を上げて、弁護士になったら下して、というのもいい。
ラブシーンのほとんどがスーツというのも好感度をあげたかも。
これはそのうち、本物を見にいかないと~。
アラサーの設定なのでキスシーンも多く。
チ・チャンウクさん、ちょっとチャンミンに似てます。
もう兵役も終わって、次回作にはいっているんですよね。
ヒョンスが真犯人だということはわかりきったうえでストーリーが展開しますが、
これを落着させるのかということがわからず、最後までみる側を引っ張りました。
そして彼が真実を語ることで、ボンヒの殺人の疑いも晴れます。
ジウクの両親を殺したのがボンヒの父親ではないこともわかり、二人の間にあったお互いに対する負い目もなくなる。
あとは、二人の母親が実は犬猿の仲だということが気がかりですが、私の見たBS版ではカットも多かったので、これが解決されたのかどうかはわかりません。
私はBS放送の20話版を見たのですが、韓国では1話30分で40話で放送されたとのこと。
30分の中に何かが起こるように作られたのならば、話のテンポが良いのもうなずけます。
検事に戻ったジウクと弁護士のボンヒは、事件でも私生活でも自分の主張を曲げず、この先も思いやられる感じですが、すでにもういろんなことを乗り越えたので、めでたし、というところでしょうか。
深読みをすると、これまでの韓ドラだったら、親の因果が子に報い、ということで、
もし親の死に関係していたら恋愛関係になるなんてありえなかったと思います。疑いが晴れたとしても、お互いの傷をなめ合うとか、コメディにはなりえないかと。
ジウクとボンヒがハッピーエンドになれたのは、お互いの過去を理解して許し合えたから。
反対に、検事長は、過去の遺恨を忘れず、正義を守る職の高位でありながら、復讐心に燃え、体面と権威を大事にするという、「昔の人」そのものです。
明日を生きる二人と、過去に縛られる老人を対極的に描き、いつまでも過去にとらわれず、ゆるし、前をみて手を取るというのが、制作側の理想なんじゃないかと。
「ゆるす」は「許す」ではなく、「赦す」ですね。
それがメッセージかなあと。
【作品メモ】
演出:パク・ソノ/チャン・ドンユン 脚本:クォン・ギヨン
40話