韓ドラとソウルホテルと。

韓国ドラマのレビューブログ(基本的にネタバレ)。ときどき昔話。

恋の記憶は24時間 ~マソンの喜び~

yoonaのココがみどころ!

■チェ・ジニョクとソン・ハユンの身長差! キスシーン!キスシーン!

■交通事故、記憶喪失、貧富の差という韓ドラの定番オンパレード(だけど暗くない)

■同音異義、掛詞の妙(下手するとおやじギャグ)

 

このドラマの制作が発表になったときのタイトル、原題は「魔性の喜び」。

これにチェ・ジニョクが出るって知って、

ああ、なんてエロそうなドラマに出るの?(見なくちゃ!)と思ったのだけど、

実際はぜんぜんエロくもない、ロマコメでした(^_^;

 

「魔性」は主人公の名前であるマソンと音が同じで、

「喜び」という意味の韓国語「キップム」がヒロインの名前。

言ってみれば、「アダムとイブ」みたいな意味あいな訳で、

これを「魔性の喜び」とすることでどれだけ期待を持たせたことか(^_^;

 

日本語で「魔性」といえば、そのあとには「女」と続くのが決まりのようなもので、

どんだけヒロインが「魔性の女」なのか、心底期待した。

ドラマの冒頭で、有能な脳外科医で、ハンサムで背も高いコン・マソン(チェ・ジニョク)が、

ほぼ一目惚れのようにチュ・キップム(ソン・ハユン)と恋に落ちるわけだから、

そりゃあ、それだけの魅力を持った女性ということなんでしょうけど、

このドラマのタイトルは、もうちょっと深い意味を持ってたと思う。

 

結果的には、二人が一緒にいられることが「この上ない喜びである」という意味でもあるし、

文字通り、「マソンのキップム」(マソンのものであるキップム)でもあるわけで。

なぜなら、キップムが存在しなければ、マソンの人生はどうなっていたか、

おそらくドラマにはなっていなかったでしょうから、

キップムあってのマソン、という言い方ができる。

 

日本でのDVD発売に際して、「恋の記憶は24時間」というタイトルがついて、

「マソンの喜び」は副題になったようだ。

衛星劇場での初放送時は「魔性の喜び」だったみたい)

でも、DVD棚に「魔性の喜び」とあったら、やっぱり勘違いして買ったり借りたりする人が多そうだから、このタイトル変更は致し方ないのかも。

 

1話は最高にロマンチックな展開。

この1話好きだわ~。

脳外科医のマソンと人気女優のキップムは中国の海南島で出会う。

このシチュエーションがとても美しいし、

二人が狙われて逃げ回るにもうってつけな建物が並んでいる。

マソンは、投資家に会うために海南島に来ますが、

撮影隊とはぐれたキップムと出会い、いくつかのドタバタを繰り返すうちに、

お互いに惹かれていく。

これがまあ、うまくできた展開で、

ちょっとぶりっ子と思われるほどの「可愛らしさ」と、

「3分で私のファンにしてみせる」といって街角で歌うキップムをみて、

(ファンじゃなくて)「恋人になりたい」というマソン。

いや、ここまでで1時間半くらいの凡庸なロマンス映画になりそうな感じ。

 

夜になり、石段のところでキスをかわして、

別れがたい二人は1時間後に再び会う約束をして別れるが、

会うことができない。

その短い間に、キップムは殺人事件に巻き込まれ、マソンは交通事故に遭ってしまうから。

 

3年後、殺人の汚名をきせられた(不起訴にはなる)キップムは、

スターの座を追われ、ウェブ番組の身体を張ったレポーターと、

ネット通販の仕事で生計をたて、父親と二人の弟妹を養っていた。

 

医療系財閥ソヌグループの御曹司であるマソンは、

頭を強く打った事故の後遺症で記憶障害を患っており、

事故以前の記憶がない上に、

寝て起きると前日の記憶を失っているという状況になっている。

実際にそういう症状になる病気はあるそうで、

たぶんその病気のことから、この話を思いついたのかも。

マソンは、毎日寝る前にその日の出来事を詳細に日記に記し、

翌朝それを暗記して出かけるという毎日。

 

そのマソンが、キップムと再会してから、

朝目覚めても彼女のことだけは忘れなくなる。

まさに、マソンにとってキップムは日々の「喜び」となる。

 

二人の名前にも引っ掛けがあるけれど、

キップムの弟妹はそれぞれ「チェラン(誇り)」と「サラン(愛)」という名前で、

日々酒を飲んで詩を書くだけの父親は、人生にとって「喜び」と「誇り」と「愛」があればいいと思っている、ということを暗に示している。

母親が心を病んで出ていったというあたりは、

夢と希望だけじゃ日々の暮らしはやっていけなさそう~ということも言っているような気がするけれど。

ともかく、長女のキップムがトップスターから転落しても、

前向きに明るく生きているのは、この家族あってのことだと思えます。

 

 

そして、偶然に再会する二人。

当然のことながら、二人の状況は3年前とは別世界。

マソンはキップムのことを覚えてすらいない。

しかもマソンは、キップムがスター時代に住んでいた豪邸に住んでいる!

「出会いは最悪」というロマコメのお決まりの設定で、

ドラマはここから始るも同然。

 

 

 

マソンは幼いころ両親を交通事故で無くしていて、

そのトラウマから、強い光を見ると事故の記憶がフラッシュバックして、

体調を崩してしまう。

両親亡き後、マソンは叔母たちに育てられるけれど、

いわゆる家庭の愛情のないままに育っています。

その割には、物事の善悪が分かっていて、物腰も柔らかくてスマートだし、

良く育っているなあと。

(なんでそんな人が、海南島でいきなりTattoを入れるのか不思議だった)

 

叔母の一人息子である、いとこのソン・キジュン(元INFINITEのホヤ)は、

マソンとは仲が良いけれど、出来が悪く、家業には興味がなく、勝手に俳優になろうとしています。

キジュンがもともとキップムのファンであったことから、

キップムとマソンがつながることになり、

彼がキップムのために芸能事務所を作ったことで、

キップムの再起や帝国エンタの代表、キム・ボムス(チョン・スギョ)との悪縁もつながるので、

キジュンの役回りは大きい。

 

「応答せよ1997」でのホヤ君が良かったので、

除隊後のこの作品での序盤では、芸能人の役なのに何だか「下手?」と違和感があったのだけど、

後半、母親に対峙していくあたりではだいぶいい感じだった。

トップアイドルがダメな芸能人っぽくふるまうことがわざとらしくて難しいのか、

イ・ハイム(イ・ジュヨン)との恋愛がぎこちないのは素なのかわからないけれど、

後半が良かっただけに、マソンから療養院のことを託されて、

それを推し進めていくところもちょっと見たかった気がする。

(ドラマでは、グループの代表理事になったキジュンがやったことになっている)

 

再会して、またお互いに好意を寄せあっていく二人と、

マソンが必死に記憶を取り戻そうとする姿と、

残り少ない時間を、療養院の設立にかけようとする姿と、

3年前の殺人事件に絡んで、キム・ボムスが仕掛けてくる嫌がらせと、

一度落ちぶれた芸能人が再起することの難しさと、

財閥の権力争いと

なんか話はテンコ盛りなんだけれど、

それほどジェットコースターな展開というわけでもなく、

けっこうまどろっこしい感じはしました。

 

このドラマ、これでもかっていうくらい、

マソンとキップムのキスシーンが多かった!

数えてないけど、何かっていうとキスシーンなんで、

他の案件を忘れそうになるんですよ。

 

その上。

二人の身長差が。。。

186cmのチェ・ジニョクと公称160cmのソン・ハユンなんだけど、

ハユンさん、もうちょっと小さい?? それに細いし、

もう、マソンがのしかかるようにしか見えないし。

(どっかの感想には、キップム、首、痛そうってのがありました(^^;)

韓ドラはどっちかっていうと、俳優も大きいけど女優も大きいので、

それほど姿勢が辛そうなのもあんまりないんですけど。

それもあって、このドラマのキスシーンは、これでもかっていう感じがする。

 

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(やっぱりあった、キスシーンを集めた動画。これで全部じゃないっていう(^^;)

 

マソンは貧しい人たちのための療養施設の建設に、残りの人生をかけていたけれど、

彼自身がこの先認知症のような症状になることを予測していたので、

それは自分のためでもあったのだろうと思います。

でもそのことが、すごく重みをもって、キップムとの間で話題になることがない。

(まあ、彼が自分の症状をキップムに隠していたということもあるけれど)

また、キップムに対してはすごく優しく接しているけれど、

彼女の暮らしへの理解とか、芸能界への再起とか、犯罪者の汚名返上とか、

そうした悩みに対しては、助けようとはするけれど、あっさりはしています。

その辺が、どうも物足りないところかなあと。

 

運命の相手として、キップムに出会えたことが「喜び」なのはわかるけれど、

なんかもっと深く理解しあえてたらなあと思ったりします。

それでこそ「マソンの喜び」なのじゃないかなあと。

キップムの父親がさんざん詩を読んでいたっていう伏線も、あんまり役に立っていなくて、

逆にちょっと薄っぺらく思えてしまうんですよね。

いろいろとっちらかった展開がどうなるのかあんまり腑に落ちてないのに、

ドラマの最後ではみんな解決してます。

そこがちょっとねえ。

 

でも、ジニョクさんのかっこいいスーツ姿はたくさん見られたし、

相変わらず、あのくしゅっとわらって目じりが下がるところにはキュンキュンするし、

私と同じくらいの背丈の女優とのキスシーンも良し。

 

いろいろなことを思い出したことによってかえって病状が悪化したマソンは、

キップムの前から姿を消すけど、

さあ、どうやってまたキップムと再会するんだ?というところが、

ドラマを最後まで見た原因。

絵的にはすごくよかったけど、もうちょい、ひとひねり欲しかったかなあ。

あそこにいたのに、キジュンにばれてないというのがすごすぎ。

しかもユン先生(キム・ミンサン)と。

 

キム・ミンサンさんが、チェ・ジニョクのドラマ「トンネル」では、

とんでもなく悪い奴だったこともあって、

最初から、この人胡散臭いと思っていて、途中までは予想通りだったのに、

最後の最後で・・・。

 

結局、いろいろと、キジュンが「お金で解決した」のだと思います。

キム・ボムスのことも、キジュンの母親のことも。

 

マソンの手にある「タムラソウ」のタトゥの意味と、

キップムの水恐怖症という伏線は、最後のほうで解決。

けど、これはいらないんじゃない?と思う~。

マソンとキップムを「運命の相手」にしたかったんだろうけど、

海南島の出会いが最高!ということだけでよかったのに。

 

意外だったのは。

マソンの病気が治ったわけではないというラスト。

再びすべての記憶を失っても、彼はキップムのことだけは、

見ただけで、かつて愛した人だとわかったわけですが(誰かはわからなくても)、

そこは良かったかな。

なんかこう、治っちゃったっていうのもしらじらしいし。

 

二人の再会で終わらないのも韓ドラらしいわけで、

私はいつも、この「後日談」はいらないと思っていましたが、

このドラマで初めて、「これはアリ」と思いました。

前日のことを忘れてしまうマソンのために、毎週結婚式をやるキップム。

それに付き合ってくれる人たち。

この発想は、このドラマで一番よかったです。

 

エンディングで、マソンの叔母(キジュンの母)が出てきて、

踊りだすのはホラーかと思いましたが(^^;

 

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【作品メモ】

韓国放送:2018年9月~ Dramax/MBN

演出:キム・ガラム 脚本:チェ・ジヨン

全16話