yoonaのココがみどころ!
■チャン・グンソク君、入隊前最後のドラマ。一人二役を演じきったところが、お見事。
■一人の悪者を狙うドラマとしては多少まどろっこしいところもあるが、形勢がコロコロ変わるので飽きない。
■相変わらず、韓国では検察とか政財界とかは悪いやつ扱い。
韓国の俳優さんは、ある時は大富豪、またある時は最下層の暮らしをする人だったり、役の振れ幅が大きくても、どちらも見事に演じ分ける人が多いけど、グンソク君もその一人だろう。
子役時代から演技がうまいのはわかっていたけれど、あの外見、とりわけにこっと笑った時の可愛さがどこかで邪魔をするんじゃないかと思っていたが、どうしてどうして、このドラマの両極端な二役をちゃんと演じ分けて見せました。
一方は、司法試験を受けたら上位合格も期待されていた天才詐欺師のサ・ドチャン(チャン・グンソク)。
もう一人は、検察きっての堅物というか、生真面目で正義感の強い検事、ペク・ジュンス(チャン・グンソク)。
ドチャンがジュンスのふりをして、闇賭博の現場を押さえもうけを横取りする詐欺を働いているのと同時刻に、本物のジュンスは命を狙われて九死に一生を得ていた。
二人が瓜二つの容姿をしていたことから、ドチャンの弱みを握った検事のオ・ハラ(ハン・イェリ)はドチャンにジュンスの身代わりになるように言い、ドチャンも仕方なくジュンスの代わりを務めることに。
ペク・ジュンスとオ・ハラ、その上司のヤン部長(パク・ウォンサン)は、ひそかに麻薬取引事件を追っていて、その黒幕である「ヒグマ」と呼ばれる男を探している。
実は、ドチャンも自分の父親を殺した犯人である「ヒグマ」を追っていたのだけど、どちらもその顔を見たことがない。
一方、元国務大臣のチェ総裁を中心に、国の政治や経済を思うように動かそうそうとする一味(南山クラブ)がいて、各界の主要メンバーが名を連ねていた。フィール美術館を運営するクム・テウン(チョン・ウンイン)はチェ総裁の娘婿として、麻薬取引で資金を稼ぎ、裏金で政財界を操り、検察庁を味方に引き入れるとかいろんなことの実行部隊を率いている。
ドチャンとその詐欺グループがやる詐欺は、悪い奴らからお金を奪うことなので、表だって訴えられたりはしない当たりは、「青い海の伝説」でイ・ミンホがやっていた詐欺と同じですね~。相手をだますけれど、痛快というか。仲間に天才ハッカーがいたりするところも似ています。
ドチャンの仲間は、みなドチャンに助けられたことがあるという過去を持っていて、結束が固いんですね。一見、みんなうっかりしてそうで、「仕事」はきちんとしてます。
検察ではペク・ジュンスは割と孤立していて、敵も多い。検事正(チェ・ジェウォン)は、南山クラブのメンバーであり、チェ総裁の後押しで時期大統領を狙っているという野心家であることから、ジュンスたちの「ヒグマ」への捜査も邪魔されます。
ドチャンであるときは、服装もファッショナブルで歩き方も肩で風を切るような感じ、一方ジュンスを演じるときは動作も小さく、表情もかたいままという両極端な演技を見せるグンソク君ですが、二人がちょくちょく入れ替わるので、え?今どっちがどっちを演じているの?と混乱するときもあります。
同じ画面に二人が出てくる場面では、違いはヘアスタイルとメガネくらいなんですけどね~。声は変えようがないですが、しゃべり方や視線で見事にその違いを出しています。
グンソク君も作品によっていろんな役をやってきたけれど、一つの作品でこれほど演じ分けるのはすごい。ドチャンとして詐欺を働いているとき、病床のジュンス、それにジュンスを演じているドチャンというのもまた別の人のような感じがしますし、ほんとに多彩です。
「スイッチ」というタイトルは、ドチャンとジュンスがコロコロ入れ替わる、スイッチするということから来ているらしいですが、追う検察と悪党一味の形勢も一瞬で変わり、え?どうする?と、ハラハラする場面が多いのも見どころ。
検察として詐欺師を仲間に入れることに忸怩たる思いを抱きながら、ペク・ジュンスを先輩として尊敬していたオ・ハラが、どんどんドチャンにひかれてるな~と感じさせるあたりも良かったですね。
ハラがドチャンに惹かれるのはわかりましたが、ドチャンがどう思っているのかは、最後まではっきり態度には見せませんでした。しょせん、生きていく世界が違うと割り切っていたのかもしれません。
※そういえば、シウォンの新しいドラマは、詐欺師と刑事が結婚するって話ですね。
それにしても、「トッケビ」のキム・ゴウンさんといい、このハン・イェリさんといい、最近の韓国ドラマのヒロインは、重たい一重まぶたのすっきり系の顔立ちが多い。(あんまりいじってないというか)
ぱっちりおめめのツンとしたタイプに飽きが来ているのでしょうか。
ハラの妹が記者だったり、テウンの子分のソンドゥ(クォン・シヒョン)が実はテウンの息子だったり、死んだと思っていたドチャンの父サ・マチョン(ソン・ビョンホ)が実は生きていたり、そのマチョンがハラの母親(キム・ソラ)と親しかったり、韓ドラらしくいろんなつながりがあり、それが見事にストーリーに生きています。
マチョンがハラの母に「オードリー・ヘップバーンに似ている」とお世辞を言うのですが、後日ドチャンがハラの母親に(ジュンスとして)会って、同じお世辞を言いますね。こういうとこはしゃれています。
ジュンスとドチャンはいろんな情報を共有してて、完璧に身代わりになろうとしますが、ハラのネックレスがもともと誰のものか知らなかったことで、ハラは目の前にいるのがジュンスではなくドチャンだと見抜く場面もあります。
でもだんだん、今は、ジュンスを演じているドチャンなのか、ジュンス本人なのか、混乱する場面も出てきます。
クム・テウン役のチョン・ウンインさんがまた上手くて~。ほんとに怖いわ、この人。
邪魔者、失敗した者をどんどん消していく様子に旋律を覚えるけど、彼の周りからもどんどん人がいなくなっていくということでもあるんですよね。
韓ドラの悪人は、最後まで絶対に更生しませんが、今回もやはり。
ソンドゥがテウンの息子であり、かつて自分と母親を捨てた父親を恨んでいるということがわかると、ああ、彼がどこでどんな引き金を引くのかなというのも興味がありました。彼が勝手に動くと、いろいろ困ることもあるでしょうけれど、やはりその背後にはドチャンがいました。
絶対に人を信用しないテウンが、最後に息子だけは信用したというところがオチなんでしょうけど、親子ってそういうもんだということを、ドチャンのほうがわかっていたっていうことなんでしょうか。
これは絶対絶命って思ったところは、コ係長(チャヨプ)が監察部に尋問されたとき。
どうしてジュンスが別人と疑ったかって聞かれて、「いい人だったからです!」と答えたのは笑えた。ペク・ジュンス、相当やな奴だったんですね。
また、ジュンスのDNA検査をするということになったときは、これは以前なんかのドラマで、検査結果をすり替えたのがあったので、それかなと思いましたが、見事に人が入れ替わっていました。DNA検査の結果が出るまでの時間も早すぎるし。
細かいところを見ると、いろいろツッコミどころもあるドラマでしたが、全体にテンポ良く、だまし合いが繰り返されるので、面白く見ました。
最後に詐欺仲間たちにお金を渡して、去っていくドチャンの後ろ姿、軽薄そうに歩いていく後姿がさすがだな~と思いました、グンソク君。
司法試験なんてまた受けなおして、検事になるっていう道もあると思いますけど、たぶんドチャンは詐欺師のまま行くんでしょうね。
オ・ハラとどうなるかは、また別の物語なのでしょう。
タイトルテーマ曲が、昔の「スパイ大作戦」と似てました。たぶん、意識してた?
【作品メモ】
韓国放送:2018年3月~ SBS
演出:ナム・テジン 脚本:ペク・ウンチョル/キム・リュヒョン
全16話